10年通期の利益見通しに失望感、今後の生産コスト増を予想
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00347 | 鞍鋼股フン有限公司(アンガン・スチール) |
11.30 HKD (01/26現在) |
株価 企業情報 チャート |
アンガン・スチールはこのほど、2010年12月通期(中国会計基準)の純利益が前年比134-161%増の17億-19億元となる見通しを明らかにした。ただ、同社が示した予想純利益はBOCIの従来予想(40億元)を55%割り込むとともに、市場コンセンサス予想を約50%下回る水準。同年10-12 月期には6億7200万-8億8900万元の赤字を計上する見通しとなり、BOCIの予想(10-12月期に純利益15億元)を大きく下回る可能性が高まった。BOCIは大幅な利益下振れの原因として、主に鉄鉱石およびコークス価格の予想以上の高騰を指摘している。
品目別では、機械セクターによる旺盛な需要を受け、熱延コイル需要が好調に推移している。この先のピークシーズンに向け、メーカー各社が在庫の積み増しを開始したことが背景。また、国内の新車販売台数は1月の最初の2週間に前年同期比35.9%増、前月同期比16.4%増と予想以上に好調だった。ただ、新車販売伸び率は補助金支給制度を受けた前年実績の高さや(同制度は昨年末で打ち切られた)原油高を背景に、今後、減速する見込み。また、大都市部で渋滞が深刻化する中、マイカー所有台数制限が複数の都市に波及する可能性が浮上し、こうした要因が鋼材需要の伸びに影響する可能性が出てきた。
BOCIはまた、オーストラリアとブラジルの洪水被害に言及した上で、生産コスト(主に鉄鉱石およびコークス)の増大ペースが平均販売価格の伸びを上回る状況が続くと予測し、粗利益率の低下圧力が続くとみている。アンガン・スチールの場合、輸入コークスへの依存度が高くないとみられるものの、BOCIは輸入価格に追随する形で、国内サプライヤーが値上げを実施する可能性を指摘している。
従来予想を大幅に下回る2010年通期の利益見通しを受け、BOCIは同社の2010-12年の予想純利益を4-57%下方修正した。利益率が2011年1-3月期に低水準で推移するとの見通しも下方修正の理由の一つ。また、中期目標株価の算出基準を従来のPBR(株価純資産倍率)1.6倍から1.2倍に変更し、目標株価の引き下げを実施した。この1.2倍との数値は、同社ROE(株主資本利益率)が4-5%のレベルにある場合のヒストリカル・バリュエーションに相当する。BOCIはこれに伴い、同社株価の先行きを中立的な見方に引き下げている。