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チャイナリスクとアメリカンアノマリー
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

チャイナリスクとアメリカンアノマリー

2016/9/9
9月8日の日経平均は前日比53円安の16,958円と小幅ながら続落しました。
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執筆:香川睦

9月8日の日経平均は前日比53円安の16,958円と小幅ながら続落しました。9月20-21日に日米で開催される金融政策会合(日銀の金融政策決定会合とFRBのFOMC)を控えて不透明感が強いなか、為替がややドル安・円高に転じていることが日経平均の上値を押さえました。ただ、7日に日銀が従来と比較してやや規模が大きい(733億円)ETF買いを実施したことによる需給期待や、任天堂の株価高騰が相場の下支え要因となりました。

日本時間5:30時点で、ドル円は102.48円、CME日経平均先物(9月限)は16,990円で推移しています。

(1)中国関連株がTOPIX(市場平均)より優勢

最近の国内株式市場では「中国関連株」の戻りが目立っています。本年下期(7月以降の2ヶ月強)をみると、日経中国関連株指数が市場平均(TOPIX)より優勢に推移しています(図表1)。この指数は、国内主要企業のなかから、中国で積極的に事業展開を進めている50銘柄で構成されている指数です。上海総合指数や香港ハンセン指数が一時期の低迷から脱した一方、今週初に開催されたG20(杭州サミット)に向け、中国政府が鉄鋼産業などの生産過剰解消(構造改革)を進め、公共投資を積極化するとの見方が支えとなってきました。いわゆる「チャイナリスク」は、今年前半まで日本株の上値を抑える悪材料でしたが、中国市場の安定化で買い戻しが出てきたことに注目したいと思います。

図表1:中国関連株指数の推移(2016年6月末=100)

(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年9月7日)

(2)中国市場が落ち着きを取り戻している

中国株式市場で、上海総合指数の安定や香港ハンセン指数の持ち直しが鮮明となっています。この背景には、中国経済の先行きを巡る過度の悲観が後退していることが挙げられます。「中国市場の恐怖指数」と言われる「Chinese Volatility Index」(オプション市場のインプライドボラティリティ指数)は、チャイナリスクが世界株式の弱気要因となった昨年夏や今年初めと比べて著しく低下してきました(図表2)。恐怖指数の低下は、中国市場を巡る先行き警戒感(不透明感や不確実性)の後退を示唆しています(図表2)。もちろん、中国経済が抱える構造問題(地方政府や不動産部門の不良債権問題、シャドーバンキング、重厚長大産業におけるゾンビ企業処理に伴う潜在的雇用悪化など)が解決したわけではありません。欧米の需要不振で輸出部門の鈍化が続いており、鉱工業生産活動も停滞。実質成長率は減速基調にあります。ただ、「輸出・投資主導型経済成長」から「個人消費・サービス産業主導型経済成長」への転換を進める中国政府は問題の所在を把握しており、必要な政策対応(金融緩和、インフラへの公共投資を含む財政出動)をトップダウンで実施する余地があると言われています。「チャイナリスク」を巡る過度の悲観に歯止めがかかり、ソフトランディング(中国経済の軟着陸)観測が広まってきたことが、上海総合指数や香港ハンセン指数だけでなく世界株式の底堅さを支えている一因になっていると考えられます。

図表2:上海株式指数、香港ハンセン指数、中国市場の恐怖指数

(注)「恐怖指数」=オプション市場で計算されているインプライド・ボラティリティ(予想変動率)指数の俗称。同指数の上昇は投資家の先行き警戒感が強まっている状況を、指数の低下はリスク選好度の回復を示すとされる。
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(16年9月7日時点)

(3)米国株式のアノマリー(季節性)に注目

一方、日本株式には、米国の株式動向や金利・為替動向から影響を受けやすい特徴があります。そこで今回は、米国市場で知られる季節的なアノマリー(市場の経験則)を示す言葉「Sell in May and go away, but remember to come back in September」に注目したいと思います。意訳すれば、「5月になったら株式を売り抜けた方がいい。季節的に6月から秋口にかけて相場が下がりやすいから。ただ、9月に買い戻して年末までの相場回復に備えることを忘れずに」といった感じです。過去20年間(1996年~2015年)における米ダウ平均の年間パフォーマンスを平均して指数化(年初=100)してみると、まさしく「Come back in September」は説得力がありそうです。あくまで長期市場実績(経験則)にもとづいた印象であり、同様のパターンが今年も再現するとは限りませんが、米国市場ではかつて9月に株価が急落する例が多かったことも事実です。今年は、7月から8月にかけてダウ平均など主要株価指数が高値を更新した経緯があり、材料次第で米国株が調整しやすい時期に差し掛かっているとは言えそうです。例えば、9月20日と21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に向けた追加利上げ観測がいったんの株価調整の契機となる可能性も否定できません。

図表3:米ダウ平均の季節パターン(過去20年間の平均)

(注)上記グラフは、米ダウ工業株30種平均の過去20年におけるパフォーマンスを平均し指数化(年初=100)したものです。
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1996年~2015年)

ただ、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)面では、米国、日本、欧州市場の主要指数ベースの業績見通し(市場指数別の予想EPS)が「業績の回復基調」を示しています(図表4)。米国株式の業績動向(S&P500指数ベース)は、2015年の低迷(前年比3%減益)を乗り越え、本年(2016年)は7.6%の増益、来年(2017年)は13.2%の増益が見込まれています(市場予想平均)。米国のファンダメンタルズ(緩やかな景気の拡大と低金利趨勢)に大きな変化がないと想定するなら、今秋に起こるかもしれない米国株の一時的調整を受けた日本株の下落は、その後の戻り相場を視野に入れた押し目買い機会と考えられます。

図表4:日米欧主要市場の業績見通し(市場平均EPSの推移)

(注)上記グラフは、主要株式市場指数(米国=S&P500総合指数、日本=TOPIX、ユーロ圏=STOXXユーロッパ600指数、英国=FTSE100指数)ベースのEPS(1株当りEPS)実績と予想(Bloomberg集計による市場予想平均)について、2013年初を100として指数化したものです。
(出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2016年9月7日時点)

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