原材料価格高騰によりコストを見直し、利益率の低下を考慮し予想利益を下方修正
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00322 | 康師傅控股(ティンイ・ホールディングス) |
19.68 HKD (12/14現在) |
株価 企業情報 チャート |
今年後半からのパーム油、砂糖、PET樹脂などの原材料価格高騰を受け、BOCIは食品大手の康師傅控股の2011-12年予想原材料コストを見直した。即席めんの原料となるパーム油の1トン当たりの調達コストは2011年に前年比28%増の9000元、2012年は横ばいとし、小麦粉はそれぞれ4%増同6%増とした。飲料の原材料である砂糖とPET樹脂の2011年調達コストはそれぞれ前年を16%、19%上回る水準と予想している。
同社は即席めんの販売価格を2010年11月より高価格帯製品に限り10%引き上げた。しかし11月以降も原材料価格は上昇を続け、値上げの効果が充分でないことから、同社は来年もカップめんとプレミアム即席めんの価格をそれぞれ5%引き上げるとBOCIは予想している。ただ、先の値上げに対し流通大手のカルフールが合意せず、製品納入が中断されていることや、インフレ抑制を目指す政府の価格規制が強まる見通しなどから、来年の値上げは1回限りになる可能性が高い。同社は値上げや商品構成の調整により原材料価格上昇の影響を軽減し、2010-11年の部門粗利益率を29.4%に保つとBOCIはみている。
一方、飲料部門は競争の激化から値上げは困難な状況。砂糖とPET樹脂はペットボトル飲料の売上原価のそれぞれ10%、60%を占めており、価格高騰は利益率に大きく影響する。BOCIは飲料部門の粗利益率が2010年は前年比5.8ポイント減の32.6%、2011年は同2.5ポイント減の30.1%に低下すると予想。来年に入りサトウキビや綿の収穫状況が改善すれば原材料価格も下がるため、2012年の粗利益率予想は34.8%としている。
同社は即席めん、茶飲料、果汁飲料、ミネラルウォーターの各市場でシェアを伸ばしている。特に果汁飲料の販売シェアは10年7-9月期に19.3%に達し、2期連続で競合の統一企業中国(00220)を上回り、コカコーラに続く2位に浮上した。
同社は輸送費や広告宣伝費を削減することでコスト高の影響を緩和。来年も引き続きコスト管理を徹底し、12年に原材料価格が低下した時点で再び支出を増やすとみられる。BOCIは即席めん値上げの影響を加味し、2010-12年予想売上高をそれぞれ3.8%、8.5%、10.6%引き上げた。コア利益の予想値に関しては、粗利益率の低下を考慮し、それぞれ8.8%、11.4%、5.2%下方修正した。同社の飲料生産はフル稼働の状態にあるが、一部地域で品不足が発生しており、対応を迫られている。来年の設備投資計画は明らかになっていないが、10年12月期の決算発表の際に明らかになる見通し。BOCIは前年を1億米ドル上回る6億米ドルと推定している。予想利益を下方修正したものの、BOCIは同社の割引キャッシュフロー(DCF)ベースの目標株価を18.25HKドルから18.90HKドルに引き上げ、株価の先行きを中立の見方に据え置いている。