政策リスクが低い中小都市部事業に成長潜在力、親会社の資金支援もプラスに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01083 港華燃気控股(タウンガス・チャイナ) 3.79 HKD
(12/01現在)
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筆頭株主のホンコン・チャイナガス(00003)は今年4月半ば、2位株主の威華達控股(00622)が売り出したタウンガス・チャイナの一部株式を取得した後、7月にはタウンガスに本土の都市ガス・プロジェクト6件を注入する代わりに同社株を買い増し、持ち株比率を50%強に引き上げた。さらに11月半ばには威華達控股から10%を買い増し、タウンガスに対する持ち株比率を66.5%に拡大させた。威華達控股の取締役会はすでに、同社株を手放す方針を決定しており、現在手元に残る8%を市場で売り出す見込み。BOCIはタウンガスの浮動株比率が現在、25%をやや上回る程度にとどまることに言及し、威華達控股による保有株放出が流動性向上につながるとみている。また、親会社ホンコン・チャイナガスによる一部プロジェクトの譲渡を受け、この2社の事業基盤の地理的な線引きが明確になったと指摘。タウンガスが今後、外部からのガス事業の買収に動くと予想し、親会社による強力な資金支援をプラス材料としている。

インフレ抑制策を進める中国政府はすでに複数の省市に対し、この先の家庭向けガス料金値上げを見送るよう通達したが、BOCIは中小都市部のガス事業は政策リスクが相対的に低く、成長潜在力が高いとの見方。タウンガスは四川省成都(持ち株比率13%)、吉林省長春(同48%)に大型プロジェクトを保有するが、その他プロジェクトは相対的に規模の小さい都市が中心で、さらにガス販売量の70%以上を家庭向け以外が占める。BOCIは中小都市では物価抑制措置が相対的に緩やかであるとし、非住宅分野の旺盛なガス需要が政策リスクを十二分に相殺できるとみている。

BOCIによると、ホンコン・チャイナガスとタウンガスが保有するプロジェクトの80%以上はすでに、ガス料金へのコスト転嫁を実施済み。また、タウンガスのガス販売量に占める工業・商業顧客の割合は70%を超えており、仮にこれ以上の価格転嫁が不可能だとしても、同社売上高に及ぼす影響は2011年の年率換算で750万-1100万HKドル(通期税引き前利益の約1-2%)にとどまる見通しという。

一方、中国政府は12月1日付で、外資系企業に対しても「都市維持建設税」「教育付加費」の支払いを義務付ける方針を発表した。BOCIは税・費用負担の増大による同社売上高、利益の減少率をそれぞれ0.7-1.4%、3.4-6.8%(年率換算)と推定している。

BOCIは親会社によるプロジェクト6件の注入や約25%に当たる増資、実質増税などを考慮した上で、2010年の予想EPSを8.4%上方修正する一方、11年、12年の予想EPSを8.5%、6.5%下方修正。親会社による支援などを理由に、同社株価の先行きに対する見方を中立的に引き上げた。今後はガス販売量などの伸びや他の公共銘柄並みのレベルを目指したROE(株主資本利益率)の改善が、同社に対する再評価のカギになると指摘している。