量的緩和による資金流入を期待、売買代金の増加に連動した株価上昇を見込む

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00388 香港交易及結算所(ホンコン・エクスチェンジ・アンド・クリアリング)  167.90 HKD
(10/13現在)
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香港交易及結算所(HKEx)の株価が米国の追加金融緩和と新興国市場への資金流入の期待感から上昇している。BOCIは世界的なマクロ経済の不均衡と通貨安競争の可能性を懸念しているものの、金融政策および資金の流れに乗らないのは非生産的とみている。量的緩和が証券取引所に与える影響は、売買代金の増加により他業界に対し比較的明確。BOCIはHKExの2011-12年予想利益を14%引き上げ、株価の先行きを強気の見方に上方修正した。

HKExの株価は過去の傾向からすると短期的な売買代金の変化に対して反応が早い。売買代金とHKExの株価の強い相関性を示すBOCIの回帰分析によれば、現在の株価に見合う適正売買代金は1050億HKドル程度となる。

先ごろ発表されたIMFの「Global Financial Stability Report(国際金融安定性報告書)」は、新興国市場の比較的良好なファンダメンタルズと高い成長性を評価。投資家にとって魅力が増しており、世界的な資産配分のシフトが進むと指摘した。同調査によると、米国が保有する新興国資本の割合は2004年から2009年に48%増加した一方、世界市場における同資本は82%増加。米国の新興国市場ポートフォリオの成長は遅れている。IMFによると、米国の投資資産に占める新興国のシェアは2009年末で推定2.4%。新興国および開発途上国市場へのポートフォリオの流れに関しIMFは、全世界の株式および債権資産の1%が新興国および開発途上国市場に流れれば4850億米ドル相当と、2007年の流入額4240億米ドルを超える規模になると試算している。

BOCIは、人民元の自由化局面において銀行、保険、および投資ファンドが比較的早期に利益を得るとの見方を維持。これはHKExの李小加・最高経営責任者(CEO)が9月21日に発表した「人民元資金プール開設」の論旨に矛盾するものではない。李CEOは同論文の中で人民元の国際化には為替取引(5-10年)、投資(10年以上)、外貨準備金(20年以上)の3段階があると指摘している。同氏CEOは最近、香港市場での最初の人民元建て新規株式公開(IPO)について早くて来年にも実現するとコメントした。BOCIは、HKの人民元預金は急速に増加しているものの、依然規模が小さいことを踏まえ(8月の残高は1300億元)、人民元建てIPOは規模が小さいものから徐々に進むと予想している。

BOCIは、HKExの2010-12年予想売買代金をそれぞれ670億HKドル(当初予想は620億HKドル)、900億HKドル(同735億HKドル)、1050億HKドル(同860億HKドル)に見直した。2010年予想EPSは6%、11-12年はそれぞれ14%引き上げ4.35HKドル、5.40HKドル、6.29HKドルに修正している。11-12年予想EPSは市場コンセンサスを4%上回る水準。