10年6月中間決算はコア利益が11%増、不動産部門好調でハチソンも貢献
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00001 | 長江実業(チョンコン) |
96.6 HKD (08/06現在) |
株価 企業情報 チャート |
長江実業の2010年6月中間決算は、コア利益が前年同期比11%増の92億HKドル。下期に見込んでいた「Festival City I」の貢献が早期予約により当期に15億HKドルの利益計上となったほか、「Celestial Heights II」が20億HKドルの利益を創出。市場コンセンサスおよびBOCIの予想を大幅に上回った。北京およびシンガポールでの不動産販売利益率がおよそ50%に達しており、これらの効果により不動産販売部門の利益は前年同期の高水準にもかかわらず2.6%増の58億HKドルを記録した。
不動産販売部門について、BOCIは「Festive City I」の同社帰属利益のおよそ半分が当期に計上されたとみて、下期の追加利益を少なくとも15億HKドルと見積もっている。さらに、「Central Park Towers II」、「Le Prime」、「La Mer」の一部、「Celestial Heights II」の残りおよそ130戸の販売利益が下期に貢献する見通し。また、向こう数カ月間には大型物件の「Ma On Shan」および「Festival City II」の発売が控えており、同社は強気の販売攻勢を維持する。一方、中国本土の不動産販売利益はおよそ11億HKドルにとどまったが、同社は10年度に総床面積100万平方メートルの物件完成を目指しプロジェクトを推進している。10年1-7月の販売額は60億HKドルと好調で、BOCIは下期の中国の不動産販売利益が少なくとも上期比50%増になると予想している。
賃貸収入は前年同期比10%増の9億1200万HKドル。前期比ではほぼ横ばいだった。香港の賃貸オフィス市場は07年の高い契約ベースにより更新時の値上げが難しい状態にあり、下期も停滞の見通し。一方、ホテル部門の営業利益は前年同期比46%増、前半期比27%増の3億5100万HKドルと予想以上の成長を示し、金融危機前の08年上期の水準に戻した。
事業の好調を背景に、長江実業の10年6月時点の手許現金は184億HKドルに上っている。純負債比率は6.8%と低水準を維持。10年下期および11年上期の建設資金返済期日到来で負債比率のさらなる低下が見込まれ、同社はより積極的に香港および中国本土の開発用地確保に乗り出すとみられる。
ハチソン・ワンポアの持分利益(長江ライフサイエンス含む)は同12%増の60億HKドル。港湾および小売事業の回復に加え、コスト削減、在庫管理策が奏功。またハチソン傘下の通信会社3 Groupの顧客獲得コストを慎重に管理した結果、LBIT(金利・税引前損失)が10億HKドル以下に縮小。スマートフォンの普及でモバイルネットワークのデータ通信量が増えたことから、テクノロジーの優位性とコスト競争力のある3 Groupはシェア拡大が見込まれ、下期は金利・税引き前損益の黒字転換が期待される。
BOCIは同社の10-12年予想利益を11-19%引き上げ、10年予想NAVを125.70HKドルから139.00HKドルに上方修正。株価の先行きを強気の見方に据え置いている。