天然ガス事業の拡大や事業多角化に高評価、LPG部門には不安定要素も

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00384 中国燃気控股有限公司(チャイナ・ガス・ホールディングス) 3.96 HKD
(08/05現在)
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BOCIは中国本土での主力の天然ガス事業の拡大や事業多角化に言及し、最新リポートで中国燃気の成長性を高く評価したが、その一方で、積極的なLPG事業拡大戦略に伴うリスクや高負債比率に触れ、中立的な見方で同社株の新規カバレッジを開始した。同社は天然ガス、LPG(液化石油ガス)の供給に加え、CNG(圧縮天然ガス)対応のガススタンド、都市ガスインフラの建設・管理などの事業に従事し、都市ガス事業のカバー範囲は国内123都市。ここ2年間は有力企業との提携や買収を通じ、CBM(炭層メタン)、LPGなどの事業に参入した。BOCIは価格の上昇や飽和感に伴う天然ガスの競争力の後退や中国政府が進めるクリーンエネルギー政策に言及し、長期的にはCBM、LPG事業の重要性が高まるとの見通しを示している。

BOCIによると、強力な株主をバックに持つことが同社の強み。川下分野の大手であるオマーン石油やシノペック(00386)、インドGAIL、さらに金融機関の海峡金融控股、アジア開発銀行などが株主として顔をそろえる。また、同社では全事業部門で販売量の大幅な伸びがみられ、中でも10年3月通期にはCNG部門が成長エンジンの一つとなった。自動車向けCNG販売量は同期に前年比約48%増。同社は現在91カ所のCNGスタンドを2012年までに180以上に拡大する方針を明らかにしている。

一方、中国の「ガス価格改革」を受けたガス調達価格の高騰によるマイナス影響は、相対的に軽微にとどまる見通しという。個人世帯に比べ、価格転嫁がたやすい商業・工業ユーザー向けの販売量が10年度には全体の72%に達し、12年度にはこの割合が77%に上昇する見通しが背景。また、BOCIは次年度に向けた同社経営陣の見通しが正確で、06年以降、常にガイダンスを上回る実績を残してきたことを高く評価している。

ただ、BOCIは積極的なLPG事業の拡大戦略にリスクが残るとの見方。長期成長力の確保や政策リスクの分散化の点は前向きに評価しながらも、LPGの価格や輸入量の不安定さに言及した。BOCIが他にリスク要因として挙げたのは、中裕ガス(08070)買収計画をめぐる不透明感や高負債比率。しかし、純負債比率(対自己資本)は09年度の214%から10年度には187%に低下しており、BOCIは力強いキャッシュフローと自律成長を背景に、向こう2-3年にわたって低下傾向が続くと見ている。

同社の10年3月通期決算は純利益が前年比8.4倍増の8億7600万HKドルに上り、経営陣の事前予想を上回る内容となった。一回性の特殊利益の計上も大幅増益に寄与したが、天然ガス販売部門の粗利益率は19.1%から20.8%に、都市ガス管敷設部門の粗利益率は67.4%から70.6%にそれぞれ上昇。LPG部門の営業利益は7400万HKドルの黒字に転じた。BOCIは向こう2年間の天然ガス販売量、売上高、営業利益伸び率をそれぞれ年率29%、43%、29%と予測している。