6月中間期に純利益8.4倍増、大幅な需要回復で通期利益見通しを上方修正
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00293 | 国泰航空(キャセイ・パシフィック) |
18.08 HKD (08/05現在) |
株価 企業情報 チャート |
キャセイ・パシフィックの2010年6月中間決算は、純利益が前年同期比の8.4倍に当たる68億4000万HKドルに達した。営業利益は同142.9%増の49億6200万HKドル。売上高が33.7%の伸びを示す一方、コスト管理が奏功し、営業経費は26%の増加率にとどまった(燃油コストを除外した場合はわずか4.4%の増加率)。また、子会社2社の権益売却に伴い、21億6500万HKドルの投資収益を計上したことも大幅増益を支えた要因。同期決算が予想を上回ったことを受け、BOCIは2010-12年の予想EPSをそれぞれ195.7%、67.7%、30.1%増額修正し、新たに2.90HKドル、2.57HKドル、2.92HKドルに設定した。また、同社目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。
中間期の大幅な利益成長を支えたのは、旅客・貨物両部門の予想を上回る需要回復とイールドの改善。同期の主要業務指標をみると、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)、AFTK(有効貨物トンキロ)がそれぞれ前年同期比0.1%減、7.1%増にとどまる一方、利用量を示すRPK(有償旅客キロ)、PFTK(有償トンキロ)が6.9%増、26.3%増。その結果、搭乗率を示す旅客ロードファクター、貨物ロードファクターは、それぞれ5.5ポイント、11.8ポイントの大幅な改善傾向を見せた。中でも北米路線の旅客ロードファクターは記録的高水準となる91.7%。これにより、同期の旅客イールド(有償旅客キロ当たり収入)、貨物イールド(有償トンキロ当たり収入)はそれぞれ17.5%、36.1%の伸びを示した。また、旅客、貨物両部門の収入は25.7%増、63.1%増。世界的な景気回復に伴う航空需要の伸びが同期の好調の一因だが、国際航空運送協会(IATA)によれば、高額旅客の利用状況は今も金融危機前のレベルを10%程度下回っているという。BOCIは今後の景気回復に伴う高額利用者の伸びを見込み、一段のイールド改善の余地を指摘している。
一方、6月中間期の1日当たり航空機稼働時間数は、前年同期比6.3%増の11.8時間。BOCIによると、同社経営陣は今後の航空需要に対して引き続き慎重姿勢を維持しており、来年の輸送能力の伸びはわずか5%にとどまる見通しという。なお、同社はすでに、A350-900型30機の購入計画を明らかにした。30機分の定価は総額78億2000万米ドル。BOCIは2013年以降の引き渡しとなる可能性が高いとみている。
中間期の総営業経費に占めるジェット燃油調達費の割合は36.2%に上り、前年同期の30%から拡大した。同期の燃油調達価格は前年同期を44.8%上回る1バレル当たり平均92.2米ドル。BOCIは10年12月通期について、同95米ドルへの一段の上昇を予想している。