10年6月本決算でコア利益179%増、本土賃貸事業の成長ペース減速を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00101 恒隆地産(ハンルン・プロパティーズ) 32.6 HKD
(07/29現在)
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恒隆地産の2010年6月本決算は、コア利益が前年比179%増の66億7000万HKドルに達した。この数字は市場コンセンサス予想を3.8%下回る半面、ほぼBOCIの予想範囲内。主に年度上期に確定させた香港の新築物件「HarbourSide」の販売好調が大幅増益に寄与した。その一方で、上海のオフィス賃貸業務は大幅に減速し、中国本土での賃料収入の伸びはわずか2.6%。ただ、BOCIは不動産開発・販売以外のコア利益ベースが前年比約10%増の26億HKドルに達し、経常利益の安定確保に向けた基盤がさらに整ったとの見方を示している。また、「HarbourSide」の貢献で手元現金が115億HKドルに達するなど、同社が財務の健全性を維持したと評価。「Shenyang(瀋陽)Palace 66」の完工に伴う不動産再評価益の計上で、期末の純資産価値が1株当たり21.14HKドル(前年同期は同16.40HKドル)に上昇したことにも言及し、同社目標株価を引き上げた。ただ、現在の株価水準を考慮した上で、同社株価の先行きに中立的な見方を維持している。

中国本土での不動産賃貸事業について、BOCIは今後の成長ペースの減速を予想している。上海でのオフィス賃料および空室率は改善傾向を示しているものの、店舗物件部門の賃料はすでに高水準にあり、この先の伸び率は2ケタ台前半にとどまるとの見方。過去10年間には前年比20%強の伸びを示してきたが、新たな成長エンジンの確保が新規プロジェクト頼みとなる可能性があるとしている。ただ、新規のショッピングモールにしても、1回目のテナント契約が満了するまで賃貸料の値上げは難しく、中堅都市部のショッピングモールの経営効率も上海に比べて見劣りしがち。BOCIはこうした理由から、「Shenyang Palace 66」が次の賃貸契約更新を迎える2012年まで、本土の賃料収入の成長減速が続くとみている。一方、同社は現在、「Jinan(済南)Parc 66」の建設を進めており、すでに同物件の初期段階の入居者募集をスタートした。これまでに約25%分の契約を確保したもよう。同物件は2011年下期-12年上期に開業する予定で、BOCIによると、本格的な収益貢献は2013年以降になる見通しという。

一方、同社は再び配当性向の引き上げに動いているが、BOCIによると、不動産販売部門の純利益を除外し、賃貸部門に限定した場合の配当性向は今も推定110%の高水準にある。BOCIは同社の優れた財務状況を前向きに評価し、余剰現金から配当支払いを実施していることに言及しながらも、この先、配当性向の引き上げを継続するのであれば、経常利益基盤をさらに強化する必要があると指摘している。