10年3月通期に44%増益、12年度に収益成長の加速を予想
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00303 | 偉易達集団(Vテック) |
83.1 HKD (06/15現在) |
株価 企業情報 チャート |
Vテックがこのほど発表した2010年3月通期決算は、純利益が前年比44.2%増の2億650万米ドルと、市場コンセンサスをおよそ5%上回った。売上高は年度下期の復調を受けて前年比5.8%増(年度下期には前年同期比18.6%の増収)。純為替差損の消失(前年度は2670万米ドルの差損を計上)や新製品投入の延期に伴う広告宣伝費の縮小などが寄与し、通期の営業利益率は前年を4ポイント上回る14.6%に達した。一方、市況回復を見込んで原材料在庫を積み増したため、期末の在庫回転日数は前年の67日から75日に伸びた。なお、同社は1株当たり0.62米ドルの期末配当を実施する予定。中間配当を含めた通期の配当性向は92.7%と、前年の90.8%をやや上回る水準となる。
部門別にみると、通信機器部門の10年度の売上高は前年比19.6%増の7億4230万米ドル。主に北米でのシェア拡大と欧州での売れ行きの回復が2ケタ増収を支えた。ゼネラルエレクトリック(GE)の撤退に伴い、北米市場におけるコード付きおよびコードレス電話機のシェアは前年の約40%から48.6%に上昇。また、欧州での売上高は年度上期に前年同期比24.4%落ち込んだ後、下期には同2.3%の小幅の伸びを回復した。
このほか、電子学習機器部門の通期売上高は約10%減の5億870万米ドル。プラットフォーム製品の投入を11年3月期に先送りしたことが減収要因となったが、年度上期の売上高が前年同期比24%落ち込んだ後、下期には同4%の伸びを確保した。同社は携帯型教育ゲームシステムMobiGoを今年6月7日に北米市場に投入し、さらにアニメタイプのeブックシステムV.Readerを6月21日に発売する予定。同社経営陣は2つの新製品が価格と機能の両面で、競合製品を上回るとみている。 一方、欧州が売り上げ全体の34%を占める同社にとっては、ユーロ安がリスク要因。決算通貨が米ドルであるため、ユーロ建て収益が目減りする可能性が高いほか、同社は現時点でユーロ建ての製品価格値上げを実施していない。BOCIの分析によれば、ユーロの対米ドル相場が10%下落するたびに同社売上高は3-4%目減りし、純利益は7-8%落ち込む見通し。BOCIは11年3月通期のユーロ相場が前年度平均を14%下回ると想定し、同期の予想増収率を15%から10%に下方修正した。ただ、同社経営陣によれば、今のところ欧州の主要国市場で消費減速の兆しはほとんど見られないという。同社にとっては中国での賃金相場の上昇も逆風となる見通しだが、売上高に占める人件費の割合はわずか4%。BOCIは賃上げによる影響は相対的に軽微にとどまるとみている。 10年3月期決算が予想を上回ったことで、BOCIは11年度、12年度の利益見通しをそれぞれ22%、29%上方修正した。新たなプラットフォーム製品が通期でフルに寄与することや広告費の対収入比率の低下を見込み、12年度には収益成長が加速すると予想。同社株価の先行きに強気の見方を継続している。