今年の値幅から来年のドル円レンジを考える
今年の相場も残りわずかとなりました。
今年最後のレポートでは、2015年のデータをもとに来年のドル円相場のレンジについて考えてみたいと思います。
まず今年1年の主要通貨のレンジ表をご覧ください。
正確にはまだ1日半残っているので高値/安値が更新される可能性もありますが、よほど大きなイベントが発生しない限り、これが今年のレンジとなるでしょう。なお便宜上、終値は12月29日を使っています。
ドル円の今年の値幅は約10円です。2014年の21円、2013年の18円と比べて約半分の、おとなしめの相場だったといえます。
年初から緩やかに上昇してきたドル円は、125円台の足踏み状態が続くうちに、チャイナショックの影響116円台前半へと急落。しかし、その後は米利上げを背景に123円台を回復しました。
さて、2016年のドル円の見通しについては、130円を目指してゆっくりと上昇するとの見方と、110円へ下落するという見方に分かれているようです。円安見通しの大きな理由は、米利上げサイクル開始による日米金利差拡大です。一方、円高見通しの根拠は、円安の原動力だった日銀政策サプライズ政策の限界と、それ以上に政府・日銀が現状以上の円安を望んでいないということです。
では、来年のレンジは110円 – 130円の20円幅と考えるべきでしょうか?
しかし、今年のレンジ幅は約10円です。2016年も10円程度と考えて、円安目標を130円とすると、レンジ幅から計算する下限は130円マイナス10円で120円。ならば現水準以上の円高の可能性は低いことになります。反対に円高目標が110円ならば、上限は120円。現水準は今後1年の高値圏になるということです。
いずれにしても相場見通しには、目標水準だけを見ても不十分です。レンジ幅が拡大するのかそれとも縮小するのか、つまりドル円のボラティリティがどうなるかも併せて考えることが大切です。