今回は前回の続きとして、株式投資で成果が出にくい方の共通項を3つ、そしてそれらを改善するにはどのようにしたらよいか、筆者が実践していることを踏まえてお伝えしていきます。
(共通項5)売買する銘柄を他人に依存している
売買する銘柄を自身で決めることなく、書籍、雑誌の記事、投資情報サイトでの専門家の推奨など、他人に依存している個人投資家は相変わらず非常に多いです。
もちろん、それ自体が絶対に良くない、というわけではありません。でも、他人依存をしてしまうと、自分自身で売買する銘柄を選定している場合に比べ、失敗したときの責任を他人に転嫁してしまいがちになります。
特に他人が銘柄を推奨する場合、推奨する側の人間はその銘柄が素晴らしく、今後株価が上昇する見通しが高い、という論拠で推奨します。そこには、仮に株価が下がった場合どうするかという処方箋はほとんどの場合示されていません。
そのため、推奨銘柄の株価が大きく下がった場合でも、その株を保有し続けることにつながり、結局は塩漬け株を生み出すことになってしまいます。
失敗を他人のせいにしても、何も変わりません。株式投資は自己責任です。他人の意見を参考にすることはあっても、全てを他人に依存してしまっては成長できません。他人依存の強い個人投資家は、株式投資で満足のいく成果を出すことは非常に難しいと言わざるを得ません。
(共通項6)同じ失敗を繰り返す
共通項5と関連しているのですが、他人依存が強い個人投資家は、どうしても同じ失敗を繰り返してしまいがちです。他人が推奨する銘柄を買った結果株価が下落して塩漬け、その後再び他人が推奨する銘柄を買い、またもや塩漬け・・・というようにです。
また、安く買うことのできた株を大きな利益で売却することに成功したにもかかわらず、その後すぐに大きく上昇しているほかの銘柄を買って高値掴みとなってしまう、という行動を繰り返す個人投資家もよく見受けられます。せっかくの利益を、高値掴みの銘柄の損失で帳消しにしてしまうのです。
これらを避けるためには、高値掴みを防ぐことと、損切りを確実に実行することが必要です。これらを実行できなければ、同じ失敗を何度も繰り返し、結局は上昇相場であっても利益を得られずに終わってしまうのです。
(共通項7)相場環境に流されてしまう
売買のタイミングについても、統一性・一貫性・客観性に欠ける個人投資家の方が多いように感じます。
非常に多いのが、株価が短期間に大きく上昇した銘柄をまさに「ジャンピングキャッチ」で高値掴みしてしまったり、逆に株価が短期間に急落するのをみてパニックになり、あわてて保有株を底値で投げ売ってしまう、という行動です。これらはすべて、自分自身の意思で売買しているのではなく、完全に相場環境に自身の判断が流されてしまっているために生じているものです。
あらかじめ「この水準より株価が高くなったら新規買いは控える」とか、「株価がこの水準を下回ったら保有株は売却する」といった客観的なルールを決めておくべきです。そうすれば、高値掴みをすることも激減しますし、保有株を底値で投げ売りする前の比較的株価が高い水準で売却することができるなど、相場環境に流されない投資判断が可能です。
全ては「ルール化」することで改善できる
前回と今回で、株式投資で思うような成果が出せていない個人投資家の7つの共通項についてご紹介してきました。実は、この7つの共通項の大部分は、「ルール化」することで回避することができます。
筆者は、簡単に言えば次のようなルールに基づいて日々株式投資を実行しています。
- 投資対象とする銘柄や売買タイミングは、他人の推奨を参考にすることはあるにせよ最終的には自分で決定する
- 毎日保有株やウォッチ銘柄の株価をチェックし、翌日の売買が必要なものがないかを確かめる
- 上昇トレンドの間は保有を継続してできる限り利益を伸ばすよう努める
- 下降トレンドになったら保有株は売却して利益減少や損失拡大を食い止める
- 注文は一部例外を除いて指値は使わず全て成行注文を用いる
- 下降トレンドに転じた保有株の損切りは必ず実行し、損失の拡大を防ぐ
これらを実行することで、筆者は先週および今回のコラムでご紹介した7つの共通項を回避しているのです。
改めて7つの共通項を振り返ってみると、筆者はすべてこの逆を実行することができているな、と改めて感じます。ぜひ、本コラムをご覧の皆さんも、7つの共通項の逆の行動を取るようにしてみてください。きっと投資成果が大きく変わってくると思います。