個人投資家は、誰もが資産を増やす目的で株式投資をしています。でも実際はなかなかうまく行かないことも多いのではないでしょうか?

そこで今回から2回にわたり、筆者が個人投資家へのヒアリングの結果たどり着いた、株式投資で成果が出にくい方の共通項をお伝えします。

(共通項1)売買の注文を「成行」ではなく「指値」で出している

株式の売買の注文方法には、「成行(なりゆき)」と「指値(さしね)」の2種類があります。

私がヒアリングした個人投資家のうち、成果があまり出ていない人のほとんどが、この2種類の注文方法のうち、「指値注文」を好んで使っていたのです。

確かに成行注文を出すと、すぐに売買が成立してしまいます。「今の株価よりもっと安く買いたい」「もっと高く売りたい」という思いが強い場合は指値注文を使いたくなるのも分からなくもありません。

でも筆者は、買いのタイミングが到来したと思ったら、株価が多少高かろうが成行注文ですぐに買ってしまいます。そうしないと株価がそこから大きく上昇してしまい、買うタイミングを逸してしまうおそれがあるからです。

買いについては、指値注文をしていても、「買えないまま株価が上昇してしまった」という機会損失が生じるだけですから致命的な問題とはなりません。でも売りについては、指値注文ではなく成行注文で行わないと多額の損失が発生しかねません。

筆者が考える売りのタイミングは、「ここで売っておかないと、利益が減る・もしくは損失が拡大する」という状態のときです。そのため、価格にはこだわらずに成行注文でしっかりと注文を成立させておく必要があります。もし、このときに今の株価より高い価格での指値注文を出した場合、指値注文が成立せずに株価が大きく下落してしまうと多額の含み損を抱えてしまう恐れがあるからです。

(共通項2)株価が少し上昇しただけで売ってしまう

株価が買値から10%上昇すると、すぐに持ち株を売ってしまう個人投資家の方も非常に多いです。もちろん、この戦略で満足のいく投資成果が出ていれば問題ないですが、ほとんどの方はそうではないようです。

多くの個人投資家の経験として非常に多いのが、株価が10%ほど買値から上昇したものの、そこから下落に転じてしまい、結局買値さえも大きく下回って塩漬け株になってしまった、というものです。

そうした苦い経験があるため、株価が買値から10%値上がりすると、ソワソワして保有株を持ち続けることができず、売却してしまうのです。

でも、株価が上昇トレンドを続けているうちは、保有を継続して、利益をできるだけ伸ばしていくのが成果を出すための正しい手法です。

アベノミクス相場で利益をしっかりとあげることができた個人投資家はかなり少数派です。利益が出たら保有を続けずにすぐに売ってしまうという行動を取った個人投資家が大勢いたからです。

でもそれでは「利益は小さく、損失は大きく」になってしまいます。その逆の、「利益はできるだけ大きく、損失はできるだけ小さく」を心掛ける必要があります。そのためには株価が10%上昇した程度で売却してしまうのではなく、株価が上昇を続ける限り保有を続ける必要があります。

(共通項3)株価をあまりチェックしない

保有している株の株価をあまりチェックしない個人投資家の方も結構多いです。ちなみに筆者は保有銘柄のみならず、ウォッチ対象の400銘柄の株価チャートを毎日全てチェックし、翌日に保有株を売却するかどうか、もしくは新たに買う銘柄がないかどうかを確かめています。

もちろん筆者のように400銘柄をチェックするのはさすがにやりすぎですが、ご自身が保有している株や、投資候補となっている銘柄の株価は、できれば毎日、少なくとも週1回はチェックし、売買のタイミングが到来している銘柄がないかどうかを確認すべきです。

「月1回程度でもよいのではないか?」、あるいは「長期保有するのだから株価のチェックは不要では?」という意見もあるようですが、それはリスクが高いと思います。

1カ月の間に、株価は30%ほどは平気で上下します。もし買った株の株価を月1回しか確認せず、1カ月後に30%も下がってから売却するのでは、売却のタイミングが遅すぎます。

また、何年もの間長期保有するのだから株価のチェック自体そもそも不要、という考えも危険です。自身が投資した銘柄のすべてが、長期保有することにより株価が大きく上昇するのなら問題ありませんが、逆に大きく値下がりしたらどうするのでしょうか?

株価が上昇する銘柄を高確率で当てる実力は筆者含めてほとんどの個人投資家には備わっていません。とするならば、できれば毎日、最低でも週1回は株価チャートをチェックし、株価のトレンドが下降トレンドに転じて売却の必要性が生じていないかを確認するべきです。

(共通項4)株価が値下がりした株の存在を忘れようとする

上記の(共通項3)とも関連しますが、普段保有株の株価を見ない人が、久しぶりに株価をみたところ買値から大きく下がっていたら、それ以降株価を見るのをやめてしまう人が多いです。要するに、臭いものには蓋をして、見なかったことにしたい、値下がりした株を持っていること自体を忘れ去りたい、という心情が強く働くのです。

でも、値下がりした株を見てみぬふりをする、ということが習慣づいてしまえば、次々と塩漬け株が発生してしまいます。

塩漬け株は資金の回転率を低下させます。投資資金を有効活用できずに寝かせてしまっている状態です。これが続くと、新規投資に使える手元資金が少なくなり、せっかく買いタイミングが到来しても新規投資ができなくなってしまうのです。

塩漬け株を避けるためには、最低でも週1回は保有している銘柄の株価を確認し、下降トレンドに転じているなど売却の必要が生じたときは速やかに売却することが求められます。

次回は今回の続きとして、株式投資で成果が出にくい方の共通項をさらに3つご紹介します。そのうえで、これら共通項を改善するにはどのようにしたらよいかをお話していきたいと思います。