海外市場の「リスクオン」相場は続くか?
続いて、先週の海外株市場の動きについてもチェックして行きます。
図4 米国主要株価指数の年初来パフォーマンス(2024年9月27日時点)
上の図4は昨年末時点を100とした、日米中の主要株価指数のパフォーマンスを比較したチャートですが、最近の動きを見ると、各指数が揃って上昇基調を描いていることが読み取れます。
FOMC(米連邦公開市場委員会)後の株式市場が、米国の「利下げサイクル入り」と「経済のソフトランディングシナリオ」を前提に動き始めたことや、金融政策面でようやく重たい腰を上げた中国の本気度、生成AIなどの「買える銘柄やテーマ」が存在していたことなどを背景に、海外の株式市場はやや「リスクオン」の様相となっている印象です。
そのため、国内政治の動向が気になるものの、今週の株式市場の基本的な焦点は、「先週までのリスクオンの流れを継続できるか?」になります。
いわゆる「月またぎ」で10月相場を迎える今週の主なイベントを確認すると、国内では、先ほども述べたように、自民党総裁選の結果を踏まえた次の動き(人事や政策、解散総選挙の思惑)のほか、1日(火)の日銀短観や安川電機(6506)の決算などが注目されることになりそうです。
また、米国では、月初恒例の米雇用統計(9月分)の公表を週末の4日(金)に控え、9月ISM(米サプライマネジメント協会)景況感指数(製造業と非製造業)などの米経済指標などの結果をにらみつつ、景況感や今後の利下げペースの見通しを探る展開が見込まれるほか、1日(火)には米大統領選の副大統領候補者の討論会も行われます。
そして、金融緩和で足元の株価上昇を加速させる一因となった中国については、国慶節(建国記念日)絡みで、本土市場が今週1日(火)から来週7日(月)まで休場となります(香港市場の休場は1日(火)のみ)。
こうしたスケジュール感の中で注目されるポイントは、「米景気のソフトランディングシナリオに揺らぎが生じないか?」、そして、「中国株再評価の動きが続くか?」の2点になりそうです。
前者についてはこれまで通り、経済指標や10月半ばから本格化する企業決算の動向をにらみつつ、米ソフトランディングシナリオに自信を深められれば上昇基調が続き、揺らぎが生じた場合には売りに押されることになりそうです。
さらに、足元で新たに加わったポイントが後者の中国についてです。
先週に打ち出された金融緩和策が中国経済をどこまで改善させるのか、また、追加の経済政策は出てくるのかなど、中国経済の先行きに対しては未知数な部分がまだ多いものの、少なくとも「今回の政策発動によって、中国景気の最悪期は脱した」ということで、これまでの悲観的な見方が後退し、中国株の買い戻しの動きがしばらく継続しそうです。
その場合、政治的な不透明感がくすぶる日本株から中国株へと海外マネーがシフトする動きが増え、日本株の買いに勢いが出なくなってしまうことも想定されます。
今週は中国株市場の休場が多いことが幸いしそうな面がありますが、週初の30日(月)の日本株市場と中国株市場の値動きに違いが生じた場合には、注意しておく必要があるかもしれません。
したがって、今週の株式市場はそれぞれの材料の組み合わせや注目度によって、方向感が慌ただしく変化する可能性があるため、相場のトレンドを捉えるのが難しく、短期的な値動きについて行く投資スタイルでないのであれば、「いったん様子見」という選択肢もアリなのかもしれません。