クイズの正解:長期金利低下や賃料上昇はJ-REIT価格上昇の要因に

 J-REITの価格上昇につながる変化は、

【B】日本の長期金利(新発10年もの国債利回り)低下
【C】オフィスビルや賃貸マンションなどの賃料上昇

 J-REITの価格下落につながる変化は、

【A】日本の長期金利(新発10年もの国債利回り)上昇
【D】オフィスビルや賃貸マンションなどの賃料下落

 賃料上昇がJ-REITの上昇要因となり、賃料下落がJ-REITの下落要因となることは、自明と思います。長期金利の上昇下降について、以下、説明します。

 長期金利が上昇すると、J-REITの価格には、下落圧力がかかります。二つの理由があります。

【1】J-REITには、資本金とは別に銀行からの借入金があります。長期金利が上昇すると、J-REITの支払金利が増加するので、J-REITの価格に下落圧力がかかります。

【2】J-REITの分配金利回りが長期金利(10年国債利回り)よりどれだけ高いかによって、投資家から見たJ-REITの投資魅力が決まります。長期金利が上昇すると、J-REITとの利回り差が縮小するので、J-REITの魅力が低下し、価格に下落圧力がかかります。

 長期金利が低下すると、その逆です。

  1. J-REITの支払金利が減少するので、価格に上昇圧力がかかります。
  2. 長期金利とJ-REITの分配金利回りを比較したスプレッドが拡大するので、J-REITの投資魅力が高まります。

 J-REITには、さまざまな種類があります。もともとは、オフィスビルや住宅・マンションに投資するファンドがほとんどでしたが、近年は、利回りが稼げるさまざまなものに投資されています。代表的な銘柄は、以下です。

<J-REIT代表銘柄(投資の参考銘柄):分配金利回りは7月9日時点予想>

コード 銘柄名 主な投資対象 分配金利回り
(年率:会社予想)
最低投資額
(円)
8951 日本ビルファンド投資法人 オフィスビル 4.4% 568,000
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 オフィスビル 4.7% 513,000
3234 森ヒルズリート投資法人 オフィスビル 5.0% 131,900
3269 アドバンス・レジデンス投資法人 住宅・マンション 3.7% 322,000
3281 GLP投資法人 物流施設 4.4% 130,600
3283 日本プロロジスリート投資法人 物流施設 4.1% 249,900
3292 イオンリート投資法人 商業施設 5.0% 132,300
出所:分配金利回りは7月9日時点の1口当たり分配金(会社予想)を同日のREIT価格で割り、年率換算して計算

 上記に挙げたように、J-REITにはいろいろな種類があります。

【1】オフィス・リート(主にオフィスビルに投資)
【2】レジデンシャル・リート(主に住宅・マンションに投資)
【3】物流リート(主に物流施設に投資)
【4】リテール・リート(主に商業施設に投資)
【5】ホテル・リート(主にホテル・リゾート施設に投資)

 ただし、一つの種類だけに投資しているリートは必ずしも多くありません。実際にはひとつではなく、複数の種類のアセットに投資している「総合型」リートが多くなっています。上の表の「主な投資対象」では、コア・アセットとして投資しているものだけを示しています。

 J-REITに投資したいと思うものの、どの銘柄を選んでよいか分からない方は、最初は、投資信託で「東証REIT指数インデックスファンド」に投資するのもよいと思います。小口資金で、さまざまなJ-REITに分散投資できます。東証リート市場全体の平均値に投資することになります。