1,000万円につながる積立投資の入口と出口のルール
資産形成をする人にとって、「1,000万円」は一つの節目となる金額です。100万円であれば賞与や臨時収入で手に入る人もいますが、1,000万円は計画的に貯蓄しなければ届かない人がほとんどの金額だからです。
そこで、いまゼロから1,000万円を貯めたいと考える人に向けて、おすすめの方法をご紹介します。
ルール1:貯蓄とは別に毎月3万円投資できる家計を作る
これまでも触れましたが、資産運用をしようとしても元金がなければどうしようもありません。優先順位は投資をするよりも、まずは家計の見直し、支出の削減、収入の増加です。
さらにその前、投資のお金を貯める以前にやることは、いざというときのための貯金を作っておくことです。いざというときに、投資をしたお金を当てにすると、相場の状況によって目減りしていたり、損なタイミングで売却しなければならないため、お金を貯める順番は間違えないようにしましょう。現役で働いている人なら、貯金は毎月の生活費の6カ月分が目安です。
ルール2:つみたてNISAで毎月3万円を積み立て続ける
投資のスタート時は無理をせず、値動きが怖ければ少額から始めることがおすすめです。ただし、1,000万円を目標にするには、最低でも毎月3万円は投資資金を積み立ててみましょう。
運用成果はもちろん約束されているわけではありませんが、世界株式の中心である米国株式のS&P500がここ10年で平均年11%ほど上昇(年初から年末にかけての騰落率の平均)していることを考えると、シミュレーションで挙げた年率3%は、決して高い想定ではないと言ってもいいのではないでしょうか。
さらに、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座を活用すれば、売却益の税金(20.315%)が非課税になります。値上がりした資産を売却したとき、通常の証券口座での売買よりも手元に残るお金が多くなるため、使わない手はないでしょう。
ルール3:目標の1,000万円を超えたら、いったん商品を売却する
投資で一番難しいのは「いつ売却するか」だと言われます。
「たい焼きの頭と尻尾はくれてやれ」という投資の格言があります。これは、目標を達成しているのなら、さらに利益を追おうと欲張らず、いったん売却・整理しておきましょうという意味です。
うまくいっているときほど、まだ上がると考えて売却できなくなるのは、よくあることです。もちろん、さらに上がる可能性もありますが、売却を待つ間、逆に大きく下がることも考えられます。また、下がったタイミングであせって売却をすると、たとえ利益は出ていても、すごく損をした気分になりがちです。
積立投資の基本的な考え方から、「継続して積み立てしていきましょう!」と提案する方も多いのですが、投資を続けているうちは冷静に状況判断をすることはなかなか困難なもの。そこで、いったん投資をストップしてみると、客観的に状況を把握しやすくなります。1,000万円を貯め始めたころと、貯めた後では状況が大きく変わっている可能性もあります。いったん投資を整理して、市場環境を分析したり、投資対象を見直して、次の計画を考えるといいでしょう。
家計の救済策
投資は良い点・注意点、入口・出口を考えておくこと!
投資はうまく付き合えば資産を大きく増やしてくれる半面、安易な投資は大切な資産を目減りさせてしまいます。投資初心者の方には、まずは投資をやってみることをおすすめしていますが、無理のない金額から始めるべきです。
今の自分に合った投資方法や金額なのか、そもそも投資をする時期なのかなど、自問自答した上で、身の丈に合った投資を実践し、ぜひ投資経験と知識を身につけていきましょう。
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