2024年1-3月期決算、個人消費が低迷する中で予想上振れ

現地コード 銘柄名
03690

美団

(メイトゥアン)

株価 情報種類

112.70HKD
(6/7現在)

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 中国の生活関連アプリ運営大手、美団の2024年1-3月期決算は売上高が前年同期比25%増、特殊要因を除く非IFRS(国際会計基準)ベースの純利益は36.4%増と、いずれも市場コンセンサス予想を上回った。個人消費が低迷する中、主力のローカルサービス事業(ネット出前などの即配業務や旅行など各種予約サービス)と新事業(共同購入やオンラインスーパーなど)がそろって健全な成長を維持した。BOCIはより保守的な見通しを反映させる形で、収益見通しを修正。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期の売上高は市場の予想とBOCIの予想を上回る前年同期比25%増の733億元。ネット出前や日用品などの即配サービス「美団閃購」の利用頻度の向上で、注文ベースの配達件数が28%伸びた。非IFRSベースの純利益も予想から上振れ、同36.4%増の75億元。出前業務の効率化や新事業の損失削減に向けた取り組みが奏功した。

 主力のローカルサービス事業の売上高は、利用増を背景に前年同期比27.4%増の546億元。ただ、消費の低迷を受けた平均客単価(AOV)の低下や小都市部での事業拡大が影響し、営業利益は2.7%増の97億元。営業利益率は17.8%へ4.3ポイント低下した。

 新事業およびその他売上高は18.5%増の187億元。共同購入サービス「美団優選」がけん引した。営業効率の改善やユーザー向け補助金の削減、不採算倉庫の閉鎖などが寄与し、営業損失は28億元に縮小している(前年同期は50億元、前四半期は48億元)。

 BOCIはローカルサービスの客単価の低下を反映させる形で、2024-26年の予想売上高を1.4%、1.8%、1.9%減額修正。売上原価に占める配送員コストの割合を引き上げ、粗利益率を下方修正した。コア純利益に関しては、2024年、2026年の予想を2.5%、2.2%引き上げる半面、2025年に関しては販売・マーケティング費に関する想定値の修正を加味し、4.8%の幅で下方修正している。

 DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価の算出に当たっては、リスク・フリー・レートを5.0%に据え置く半面、想定為替レートを1人民元=1.08HKドルへ、元安方向に修正。永久成長率を1.0%に下方修正した上で、WACC(加重平均資本コスト)を11.1%と想定し、目標株価を引き下げた。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、ネット出前サービスや店舗予約市場での競争激化に伴う販売費の増大が利益率を圧迫する可能性を指摘。ほかに、新たな雇用形態に伴う配達スタッフの社会保障費に関する規制リスクと、マクロ経済の減速に伴う個人消費の低迷が客単価をさらに低下させる可能性を挙げている。