事業構成の優良化で1-3月期に好決算、ゲーム事業が成長加速へ

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント)

株価 情報種類

381.80HKD
(5/16現在)

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 中国の有力ネット企業、テンセントの2024年1-3月期決算は、売上高が前年同期比6%増と、市場コンセンサス予想と合致した。ただ、粗利益率が52.6%に上向いたことで、調整後の純利益率は31.5%を記録。人工知能(AI)の活用と顧客エンゲージメントの上昇を背景とするオンライン広告の収益性の向上が寄与し、いずれも市場予想を上振れた。非IaaS(Infrastructure as a Service)と企業向けサービスの高成長によるクラウド収入の最適化も、利益率の向上を支えた一因。BOCIはさらに、株主還元策を考慮した上で、同社の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは1-3月期決算を受け、同社戦略が持続可能な形で成果を上げ始めたと前向きに評価。ツールやトラフィック、滞在時間の強化、多様化、統合化、先進化によるマネタイズの実現が、質の高い収益成長への流れを生み出したとしている。

 事業別では、VAS(付加価値サービス)部門の成長がこの先数四半期にわたって加速するとみている。うち国内のオンラインゲーム事業では、有力2作品の配信再開や「地下城与勇士:起源」(DNFM、「アラド戦記」モバイル版)のリリースが寄与し、海外では傘下のスーパーセルの作品が貢献すると予想。SNS業務に関しては、音楽配信と長編動画が堅調を維持し、ストリーミング配信の縮小によるマイナス影響も段階的に薄れる見通しを示した。一方のオンライン広告部門では今後も、商品とフォーマットの多様化に加え、顧客エンゲージメントの上昇とAI機能の活用が収益性の強化を後押しするとの見方。BOCIはこうした点を考慮し、フィンテック部門の収入見通しを下方修正する半面、ゲーム、SNS、広告の収入見通しを上方修正。2024-26年の予想売上高を据え置いた。また、予想粗利益率を2ポイント以上引き上げ、予想EPS(1株当たり利益)を増額修正している。

 1-3月期決算を見ると、同社全体の売上高は前年同期比6%増の1,595億元。部門別では、VASが1%の減収となり、内訳はゲーム収入が横ばい、SNS収入が2%減だった。オンライン広告は26%増と好調で、中でも動画投稿サービスの広告収入が100%超の伸びを記録した。フィンテックと企業向けサービス部門は7%の増収。また、全体の粗利益率は52.6%。事業構成の優良化とコスト効率の改善により、前年同期比7.1ポイント、前四半期比で2.6ポイント上昇した。非IFRSベースの純利益は54%増の503億元に達している。

 BOCIは利益見通しの上方修正に伴い、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく同社の目標株価を引き上げた。目標値の算出に当たっては引き続き、ゲーム、オンライン広告、フィンテック・企業サービスにそれぞれ2024年予想PER(株価収益率)で15倍、16倍、15倍を適用。クラウドにはPSR(株価売上高倍率)5倍をあてはめた。

 レーティング面の潜在的リスク要因としては、国内の規制強化や市場競争の激化、マクロ経済の下振れ、投資の失敗、主要株主による持ち株売却の加速などを挙げている。