2023年下期業績は下振れ、有力テック企業ファーウェイの動向が2024年のカギに    

現地コード 銘柄名
00354

中軟国際

(チャイナソフト・インターナショナル)

株価 情報種類

4.77HKD
(4/3現在)

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 中国の大手ITサービス会社、中軟国際の2023年下期決算は、売上高が前年同期比13%減の87億元と、BOCI予想と市場予想をそれぞれ20%、19%下回った。金融、インターネット、ITなど各業界の大口顧客による需要の減速が響いた。2024年は密接な関係にある有力ハイテク企業、ファーウェイ(華為技術)の動向がカギを握る見込み。BOCIはこの点で、スマートフォン「P70」「Mate70」や基幹業務システム「MetaERP」、ほかに「Ascend AI」「EulerOS」「HarmonyOS NEXT」などファーウェイの新世代サービスへのシフトが、中軟国際株の支援材料になるとの見方。2024年の予想EPS(1株当たり利益)を9%減額修正し、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 2023年下期の営業利益率は前年同期を0.6ポイント下回る23.1%。純利益は前年同期実績が低く、93%増の3億6,200万元に達したが、BOCIの予想を29%下回った。

 クラウドインテリジェンスサービス部門の下期の売上高は前年同期比8%減の31億4,800万元と、BOCIの予想を35%下回った。ただ、クラウド移行や配置、データベース、データ分析、ERP(経営資源の一元管理)といったクラウドおよびデータ関連サービスにおいて、同社は国内業界のトップの座を維持。東南アジアや中東を中心に、海外市場にも着実に歩を進めている。テックセクターにおいては、小米集団(01810)やvivo、理想汽車(02015)など、有力企業からの受注も順調という。

 BOCIによると、中軟国際は2024年も、ファーウェイのサプライチェーン銘柄であり続ける見込み。ファーウェイは上期の「P70」、下期の「Mate70」など、注目の新製品を相次ぎ投入する予定。特に同社による「HarmonyOS」の「NEXT」への移行は2024-25年の重要なビジネスチャンスにつながる可能性が高い。ファーウェイがこれに伴い、豊富な第三者アプリコンテンツを求めているためで、実際に中国の200超のアプリ開発者が自社製品の「NEXT」への対応を約束している。出前サービスの美団や決済のAlipay、大手銀行のアプリなどがこれに含まれるという。中軟国際はファーウェイ関連のクラウド収入が前年比2桁増加する見通しを示す半面、従来型のITアウトソーシング部門は逆風に直面するとの見方。2023年には、ファーウェイのクラウド部門の売上高は前年比22%増。自動車ソリューション部門は同128%の増加だった。

 BOCIはITサービス需要の減速と利益率の縮小圧力を理由に、2024年、2025年の予想EPSを各9%減額修正。2024年予想PER(株価収益率)15倍をあてはめ、目標株価を引き下げた。ただ、同社株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、国内のサービス置き換えプロセスの減速やファーウェイへの依存度の高さ、ITエンジニアの賃上げを受けたコスト圧力、さらには生成AIをめぐって混乱が生じる可能性を挙げている。