2023年決算は85%減益、減損損失響くもキャッシュフローは堅調
現地コード | 銘柄名 |
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06098 |
碧桂園服務控股 (カントリー・ガーデン・サービシズ) |
株価 | 情報種類 |
5.27HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の不動産管理サービス大手、碧桂園服務の2023年12月本決算は、売上高が前年比3.0%増の426億元と、BOCIの予想通りの水準だった。ただ、粗利益率は全事業部門で悪化し、全体で20.5%と4.3ポイント低下。予想を3.4ポイント下回った。中でもコミュニティー向けVAS(付加価値サービス)業務、非コミュニティー向けVAS業務の粗利益率はそれぞれ14.1ポイント、12.6ポイント低下している。前者は主に、高利幅の業務が縮小したため。後者に関しては2023年8月以降、関連当事者を含むハイリスク顧客からの売り上げ計上を停止する半面、関連費用の計上を継続したことが響いた。また、売上高販管費比率は9.9%と、1.5ポイント低下したが、打撃となったのは多額の減損損失。のれん代関連の減損が15億元、売掛金関連が26億元に膨らんだ結果、通期純利益は前年比85%減の2億9,200万元。BOCIの予想および市場コンセンサス予想を45.1%、90.8%下回った。
一過性項目を除いた場合、2023年通期のコア純利益は前年比21.6%減の39億4,000万元。営業キャッシュフローは46億1,000万元。配当性向はコア純利益ベースで25%を維持した(純利益ベースでは337%)。BOCIは利益率の低下を反映させる形で、2024-25年の予想コアEPS(1株当たり利益)を27.1-28.9%減額修正。力強いキャッシュフローと低バリュエーションを理由に、同社株の先行きに対して強気見通しを継続している。
第三者向け業務(同グループ系列のデベロッパー以外からの管理業務委託)の拡大を受けた新規の契約面積は2023年に7,600万平方メートル。新規契約額は前年比24%減の37億2,600万元。新たに取得した第三者向けプロジェクト1,556件のうち、36%は住宅で、20%は公共施設、21%は商業・オフィス物件、14%が都市管理プロジェクトだった。
コミュニティー向けVAS業務の売上高は2024年に、前年比6.6%減の37億5,000万元にとどまったが、これは主に、住宅の装飾や不動産仲介など、不動産市況と関係する事業が縮小したため。この種の業務は粗利益率も高いことから、同部門全体の粗利益率が39.4%と、14.1ポイントの低下に見舞われた。より強力な消費・サービス業務の確立に向けた投資も、部門粗利益率を低下させる一因となった。
BOCIは目標株価の算出基準を2025年の予想ベースにシフトした上で、想定以上に堅調な営業キャッシュフローを理由に、同年PER(株価収益率)5倍から6倍に基準を上方修正。利益見通しの減額修正に伴い、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。現在株価は2025年予想PERで4.9倍に当たり、同年の予想配当利回りは5.1%。力強いキャッシュフローや第三者向け業務の拡大を考慮すれば、割高感はないとしている。レーティング面の潜在リスク要因としては、中国経済の減速により、コミュニティーVAS業務が縮小する可能性に言及している。