今週の日本株は新年度の新規資金流入による上昇再開に期待が集まりそうです。

 先週3月29日(金)の日経平均株価(225種)は前週末比518円(1.3%)安の4万0,369円で終了しました。

 これまでの急ピッチな上昇に対する反動や3月年度末の年金資金などのリバランス(資産配分見直しの)売り、28日(木)の株主配当の権利落ちといった売り圧力に押されて下落しました。しかし、下げが一気に加速することはなく、比較的底堅い展開でした。

 日本銀行の田村直樹審議委員が27日(水)に青森県金融経済懇談会で「ゆっくりと、しかし着実に金融政策の正常化を進める」と、マイナス金利解除後に性急な利上げをするわけではないと発言。

 業種別の上昇率ランキングでは低金利が追い風になる不動産業がトップに。

 為替レートも1ドル=151円97銭の年初来高値を更新するなど円安トレンド継続で外需株も底堅く、全体としては「上昇一服」程度の小幅な下げに終わりました。

 これまで人気だった高配当株の中には28日(木)の配当落ちで株主配当の分以上に下落する銘柄も多く、配当利回り3%前後のゆうちょ銀行(7182)は28日に前日比5.1%下落。

 高配当株が多い海運や鉄鋼セクターも週間の業種別下落率が3%前後に達しました。

 また、小林製薬(4967)の「紅麹(べにこうじ)サプリメント」による深刻な健康被害拡大が表面化したことで、同社の株価は前週比15.9%も急落しました。

 被害が同社の業績に及ぼす影響や事件の全容がまだ明らかになっていないため、「株価が安くなったから」と安易に買うことはお薦めできません。

 一方、先週28日(木)の米国株は、機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は先週を通じて0.4%の小幅高ながら過去最高値を更新しました。29日はイースターの祝日のため休場でした。

 2024年1~3月の第1四半期は前四半期末から10%高と、5年ぶりに高い上昇率でした。

 AI(人工知能)熱狂相場をけん引してきた高速半導体メーカー・エヌビディア(NVDA)は前週末比4.2%下落しました。

 ここまで急上昇してきただけにAI関連の半導体株は新たな材料待ちで上昇停滞、場合によっては短期的な急落も見込まれそうです。

 新年度入りした今週は行き過ぎた円安を阻止するための為替介入に対する警戒感が強まりそうです。

 週明け4月1日(月)の日経平均終値は前週末比566円安の3万9,803円でした。新規資金流入による日本株先高観から、取引開始直後に300円以上値上がりする場面もありましたが、相場を引っ張ってきた半導体関連株などが利益確定売りに押されました。

 イースター休暇中の海外投資家が多い中で買い向かう動きも乏しかったようです。

 日本銀行がこの日、取引時間前に発表した4月の企業短期経済観測調査(短観)で大企業製造業の最近の景況感を示す業況判断指数(DI)が、一部自動車メーカーの不正による出荷停止などで4四半期ぶりに悪化しました。ただ、市場では「想定内」と受け止める向きが多かったようです。

先週:上昇小休止もテーマ株、AI周辺株は活況!米国の高金利継続でも株高続く?

 先週の日本株は年度末の手じまい売りや材料難で上昇が小休止したものの、29日(金)には配当権利落ちで下落した高配当株に見直し買いが入るなど、4月以降のさらなる上昇に向けて力を蓄えている状況でした。

 相変わらず積極的な株主還元策を発表した企業の株価が急騰する展開も健在。

 自動車ヘッドランプ世界首位の小糸製作所(7276)が28日(木)に、発行済み株式の約11%に当たる総額500億円を上限とした自社株買いを発表しました。翌29日(金)にはストップ高まで買われ、前週末比26.3%高と急騰しました。

 伊勢化学工業(4107)が週間を通して17.3%高となりました。軽くて曲がるペロブスカイト型太陽電池に対する期待感から、原料のヨウ素を製造する同社が注目を浴びました。ヨウ素関連株が国策や新商品をきっかけに投資家から人気になる「テーマ株」として盛り上がりました。

 日本株上昇のけん引役だった半導体関連株は、主力の東京エレクトロン(8035)が0.6%高とほぼ横ばい。

 そんな中、半導体関連株の中でも時価総額が小さな中小型の「脇役的」銘柄にスポットライトが当たりました。

 超純水製造装置メーカーの野村マイクロ・サイエンス(6254)が前週比24.1%高。

 半導体成膜装置メーカーのKOKUSAI ELECTRIC(6525)が9.8%高といった具合です。

 27日(水)には1ドル=152円寸前まで円安が進んだことで、財務省、金融庁と日銀が三者会合を開催。

 政府の通貨政策の実務を統括する財務省の神田真人財務官は、円安の背景に投機的な動きがあると指摘した上で「あらゆる手段を排除せず適切な対応をとる」と口先介入しました。

 新年度入りした今週早々にも実際に為替介入が行われて日本株が急落リスクもありそうです。

 米国では29日(金)に2月の個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)が発表。変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年同月比2.8%の伸びと予想通りの結果に。

 前月比では0.3%の上昇で、1月の前月比0.5%上昇から伸びが鈍化しました。

 同じく29日に講演した米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、公表された2月PCEデフレーターが「私たちの期待に沿ったもの」だとの見解を示したものの、利下げ開始を急ぐ必要はないという従来通りの発言に終始。

 それに先立つ27日(水)にはウォラーFRB理事も利下げを「急がない」という発言を繰り返し、6月利下げを織り込んで上昇する米国市場をけん制しました。

 それにもかかわらず先週の米国株は高値圏でほぼ横ばい推移。

 高金利政策が続いても、株価も景気もここまで絶好調だったのだから、これからも堅調だろうという新たな楽観論が広がる可能性もみえてきました。

 米国株をけん引するAI関連株においても、主役のエヌビディアが急上昇し過ぎていることから、「AI周辺株」に銘柄物色が拡大。

 AIを動かすサーバーを製造するハードウエア企業のマイクロン・テクノロジー(MU)の28日の株価は3月の1カ月で30.1%も上昇しました。

 日本でもAI周辺株がテーマ化することで、先週急騰した野村マイクロ・サイエンス以外にも、半導体の電気特性を計測する装置で世界有数の日本マイクロニクス(6871)が2024年に入って前年末比2.4倍高。

 サーバーに電力を供給するパワー半導体で国内首位の富士電機(6504)が前年末比65.1%高となるなど、今後も人気が過熱する可能性がありそうです。

今週:復調が試される1週間、不動産株・REITなど内需株の底上げに期待

 昨年2023年4月3日の日経平均の始値は2万8,203円でした。先週3月29日(金)の終値が4万0,369円ですから、日経平均は2023年度に40%以上も上昇したことになります。

 先週の日経平均は下落したものの、今週から始まる2024年度も株式市場には根強い先高観があります。

 今週はそうした先高観が継続するのか、失速気味なのかを試す最初の1週間になります。

 米国では雇用・景気関連指標の発表が相次ぎます。

 4月1日(月)にISM(全米供給管理協会)の3月製造業景況指数。2日(火)に2月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数。3日(水)には給与計算代行会社ADP(オートマチック・データ・プロセッシング社)の3月民間雇用統計や3月のISM非製造業景況指数が発表されます。

 そして5日(金)には3月雇用統計が発表。前回の2月は、非農業部門新規雇用者数は予想を上回る27.5万人増でしたが、平均時給が前月比0.1%上昇と伸びが鈍化するなど、強弱まちまちの結果でした。

 市場予想では、今回3月の新規雇用者数は前月比20.5万人増、平均時給は前月比0.3%の伸びが見込まれています。

 あまり良すぎず、極端に悪すぎず、予想通りの結果が最も理想的といえるでしょう。

 3日(水)には民間フォーラムで、パウエルFRB議長が経済見通しについての講演を行います。

 パウエル議長が、高金利を続けても急激に景気が落ち込まず、物価高も緩やかながら鈍化している米国経済の現状をどう評価しているのかに注目が集まりそうです。

 根強い為替介入への警戒感があるため、日本市場では2週連続で好調な不動産株を筆頭に建設・銀行株など為替変動の影響を受けにくい内需株に対する買いが広がる可能性もあります。

 J-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)を指数化した東証REIT指数は、日銀のマイナス金利解除を警戒して今年に入って下落が続いていましたが、悪材料出尽くしで3月29日には前月末比5.7%高となりました。

 2月の外国人旅行者数がコロナ禍前を上回って過去最高に達するなど引き続きインバウンド(訪日外国人)需要が堅調なため、ホテル・商業施設関連のJ-REITを中心に4月以降も投資口価格の反転上昇が続くかもしれません。

 ここまで急上昇してきた日本株ですが、それは外国人投資家が大規模な資金を大量に投入しやすい半導体や外需関連の大型株に限った話でした。

 IT関連の中小型株が多い東証グロース市場250指数の3月の値動きは前月比3.4%安と低調なまま。

 日経平均の史上最高値更新で潤った投資家の資金の一部が比較的株価が割安な内需株や新興株にも流れ込み、全体相場の底上げが進むことに期待したいところです。