2023年下期に4半期ぶりに増益達成、積極的な海外戦略が引き続きけん引へ

現地コード 銘柄名
01882

海天国際

(ハイティエン・インターナショナル)

株価 情報種類

23.00HKD
(3/22現在)

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 中国の射出成形機大手、海天国際は、医療用プラスチックの世界的な需要減を受け、2022年下期から売上高と純利益が縮小。同業他社より早期に業績悪化に見舞われた。ただ、前年同期実績の低下と海外事業の立ち上げが国内売り上げの縮小をカバーし、2023年下期には売上高、純利益がともに前年同期比15.4%増加。同業他社より一足早く、回復軌道に乗った。2023年の配当性向(現金配当)は38.3%と、前年の33.9%を上回る水準となる。BOCIは2023年下期業績を予想通りとし、利益見通しと目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続。引き続き同社を主な推奨銘柄の一つとしている。

 2023年12月通期の売上高は前年比6.2%増、純利益は10.1%増。下期には前年同期比で各15.4%増を確保し、過去3半期にわたる減益局面を脱した。収益ともにほぼ横ばいだった上期から、明らかに加速した形。下期には国内売上高が横ばいとなる半面、海外売上高が前年同期比17.3%増加。その結果、海外の売上構成比が39.4%と、2021年の30%から大きく上向いた。同社は過去10年間に海外進出を果たした先発組の1社となっている。

 2023年通期の粗利益率は32.1%と、前年の31.8%を小幅に上回った。販管費は前年比12%増。営業キャッシュフローは13%増の20億元。期末の現金保有高は8.9%増の108億元だった。同社の資金繰りは堅実で、業界内ではトップレベル。配当性向は前年の33.9%から38.3%に上昇し、少数株主への利益還元を目指す姿勢を示した。

 BOCIによると、同社の海外戦略は現実的で、予想以上に積極的。地域的にカバー範囲を拡大するとともに、幅広い戦略を展開している。新興国だけでなく、日本やドイツでも新たな施設の建設に着手。本拠地の浙江省寧波市のほかに、シンガポールにもう一つの本社を配置する計画を明らかにしている。欧州では先進国市場をターゲットとする新たな生産施設をセルビアに建設中であり、2024年下期-2025年に稼働を開始し、2026年にはフルに業績に寄与する見込み。2023年の海外売上比率は39.4%だったが、中期的には50%を目指すという。

 同社がグローバル戦略に日本を含めるのは初めて。戦略全体を見ると、寧波とシンガポールにデュアル本社を置き、ドイツ、トルコ、インド、メキシコ、シンガポール、日本に6つの地域管理センターを配置。中国のほか、セルビア、インド、メキシコ、日本、マレーシアに地域製造センターを布陣する構想となっている。

 BOCIは同社の利益見通しと目標株価を据え置いた。海外事業戦略は有効であり、かつ実現性が高いとして前向きに評価。同社株を強く推奨するとした。レーティング面の潜在リスク要因としては、米利下げの先送りに伴い、世界的に需要回復期が後ずれする可能性を挙げている。