傘下のアメアスポーツの四半期決算が予想下振れ、安踏への影響は限定的

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

73.70HKD
(3/6現在)

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 中国のスポーツ用品大手、安踏体育用品傘下のアメアスポーツ社は2月初めに米ニューヨーク証券取引所に上場したが、その後初めて発表した四半期決算は予想を下回る内容。ピークシーズンにもかかわらず、2023年10-12月期に純損失を計上した。ただ、アメアスポーツ傘下のアウトドアブランド、アークテリクスは、DTC(消費者向け直接販売)が前年同期比42%の増収を確保するなど好調だった。BOCIは安踏体育用品について、◇アメアスポーツによる利益貢献は当面限られる、◇中国市場は極めて細分化されているが、アークテリクスのような適正戦略を持つ高級ブランドは力強い成長を遂げる余地がある――との2点を指摘。安踏体育用品が3月26日の2023年本決算の発表会見で、「中核ブランドの年平均2桁成長」などの中期見通しを維持するとみている。

 テニスラケット「ウイルソン」やスキーブーツ「サロモン」などのブランドを展開するアメアスポーツの10-12月期決算は、売上高が前年同期比10%増の13億1,500万米ドル。営業利益が5,980万米ドルと、前年同期の5,810億米ドルの損失から大きく改善した。ただ、GAAPベースの純損失は9,300万米ドル(前年同期は1億4,830万米ドルの純損失)。2023年通期の純損失は2億880万米ドルと、前年の2億5,270万米ドルから小幅の赤字縮小にとどまった。主に金融費用の増大によるものだが、BOCIはほかに10-12月期の卸売収入の弱さ(前年同期比4%減の7億5,900万米ドル)を指摘。サプライチェーンの調整や北米・中南米およびEMEA(欧州、中東、アフリカ)での在庫増大が響いたとしている。

 アメアスポーツが示した2024年1-3月期の売り上げ見通しは前年同期比6-8%増だが、2024年通期では前年比10%台半ば。ただ、アークテリクスは中国を中心に好調ながらも、安踏体育用品に対するアメア全体の2024年の利益貢献にはさほど期待できないと指摘。力強い営業レバレッジ効果が表れるまでにはある程度時間がかかるとしている。

 アメアスポーツが示したガイダンスにおいて、注目されるのは機能性アパレル部門(主にアークテリクス)の2024年通期の売り上げ見通しが前年比45%増の15億9,000万米ドルに上ること(うちDTCチャネルは57%増)。うち大中華圏市場に関しては45%増の2億4,600万米ドルとの見通しが示された。上海の旗艦店は2024年1月半ばに開業したが、当初30日間で320万米ドルの売り上げを記録し、BOCIは高品質製品に対する中国富裕層の消費意欲の高さを指摘。安踏体育用品が国内で展開するイタリアFILAと日本ブランドのデサントに関しても、2024年にそれぞれ前年比10%台、25%超の増収を見込む。

 BOCIは2024年予想PER(株価収益率)20倍をベースとする目標株価を据え置き、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面のリスク要因としては、小売レベルでの大幅値引きや主力ブランドの販売率が後退する可能性、広告宣伝費が予想外に膨らむ可能性、予想以上の店舗閉鎖に動く可能性を挙げている。