動画生成AI「Sora」が次の成長エンジン、先端パッケージング需要拡大へ

現地コード 銘柄名
00522

ASMPTリミテッド

(ASMPTリミテッド)

株価 情報種類

91.95HKD
(2/28現在)

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 オランダのASMインターナショナル傘下の半導体製造装置大手、ASMPTの2023年10-12月期決算はまちまちの内容だった。ただ、BOCIは、米OpenAIが開発した動画生成AI「Sora」のブレークスルーが、同社の長期の成長エンジンになるとの見方。短期的には長引く半導体設備投資の下降局面を完全にカバーすることは難しいとしながらも、AP(先端パッケージング)ビジネスの成長を見込む。APツールであるTCB(サーマルコンプレッションボンディング:熱圧着)、HB(ハイブリッドボンディング)、SiPh(シリコンフォトニクス)などの製品が、生成AIサプライチェーンの活況による恩恵を受けるとし、香港上場銘柄の中では代表的な「Sora」恩恵銘柄になると指摘。同社株の今後の再評価を予想している。2025年予想PER(株価収益率)22倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する従来の中立見通しを、強気に引き上げている。

 2023年10-12月期決算は売上高が前年同期比21%減、前四半期比2%減の34億HKドル。AP需要を受け、会社予想を上回った。粗利益率は前四半期を8ポイント上回る42.3%。営業利益率は3.6ポイント上昇の5.5%。純利益は前年同期比71%減の7,600万HKドル。

 続く2024年1-3月期に関する経営陣の見通しは弱く、予想売上高は3億7,000万-4億3,000万米ドル(中央値が前年同期比20%減、前四半期比8%減)。前四半期のSMT(表面実装技術)の受注低迷で、市場予想を9%下回るガイダンスとなったが、需要はすでに底を打ったもよう。経営陣は半導体ソリューション部門の底入れとSMTソリューション部門の回復の兆しを理由に、1-3月期の受注について前四半期比30%の伸びを見込む。BOCIは半導体全体の需要は段階的な回復にとどまるとの見方だが、同社は生成AI関連ビジネスの比重が大きく、同業他社を上回る可能性が高いとしている。

 生成AI市場の活況を受け、同社のAPビジネスの売上構成比は2023年に22%(上期19%、下期25%)に上昇した。OpenAIの動画生成AI「Sora」は2024年以降、AIインフラ需要を大幅に押し上げる見込み。TCB、HB、SiPhを含む同社のAPツールは少なくとも3-5年間にわたって、力強い伸びを示す見通しという。

 BOCIはSMTの低迷を反映させる形で、2024年、2025年の予想売上高を各2%減額しながらも、TCBの出荷増による採算性の改善を見込み、予想EPS(1株当たり利益)を18%、6%増額修正。予想PER22倍(過去3年の平均PERを若干下回る数字)をあてはめ、目標株価を引き上げた。米エヌビディアの好決算や「Sora」のデバッグ後の生成AI市場の勢いが、ASMPTの再評価を後押しするとの見方だ。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、生成AIのブレークスルーの減速やマクロ経済の減速、自動車・産業用半導体需要の低調を受けたSMTの不振、世界のファブ(生産工場)設備投資の減速を挙げている。