本土依存度の低さが強み、香港「北部都会区」プロジェクトが長期成長エンジンに

現地コード 銘柄名
03311

中国建築国際

(チャイナ・ステート・コンストラクション)

株価 情報種類

8.37HKD
(2/8現在)

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 中国建築集団傘下のゼネコン大手、中国建築国際の2023年12月通期の売上高と純利益について、BOCIは前年比9.6%増、14%増を予想している。中国本土での住宅・インフラ建設の減速を香港業務がカバーするとみて、従来予想を据え置いた。本土の同業銘柄と比べた場合、同社の強みは本土業務への依存度の軽減につながるロケーション面のバランス。2023年上期の段階で、香港・マカオが売上高の36.2%、新規受注の43%を占めたが、この割合はさらに上向く可能性が高いという。個別のプロジェクトでは香港「北部都会区」(Northern Metropolis)が長期の成長エンジンとなる見込み。同社はこのプロジェクトのインフラおよび住宅建設を請け負う主要ゼネコン。BOCIは株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIによれば、香港の住宅・インフラ建設市場で20%強のシェアを握る同社は、この先10年間にわたる「北部都会区」開発計画の主要恩恵銘柄の一つ。本土の地方政府に比べ、香港政府の財政状況は明らかに良好と言える(北部都会区は深センとのボーダー近くの新界北部に巨大新都市を建設するという香港の一大プロジェクト)。

 同社は本土の他の有力ゼネコンと比べ、香港・マカオ業務の比重が大きく、2023年上期には売上高全体の36%、粗利益全体の17%を占めた。粗利益率に対する寄与度が相対的に低いのは、本土の投資プロジェクトの割合が大きいため。ただ、香港業務は現金回収という点で優れており、BOCIはこの先、香港のウエートがさらに上向くとみる。

 現時点では「北部都会区」のほかに、香港国際空港のインフラ建設プロジェクト(同空港と港珠澳大橋の通関との連結)が進行中であり、同社にとってはこれが香港での主要建設プロジェクトとなる。中国の同業他社の場合は、本土事業のウエートが約95%。同社は地理的な多様性で優位にある。

 BOCIは売上高と純利益に関する見通しを維持。中国本土で一部のインフラ建設プロジェクトが遅延あるいは一時停止を余儀なくされる中、同業の国有ゼネコンと比べた同社の当面の優位を指摘している。また、香港建設市場の最大手としての同社の存在感を評価。目標株価を引き下げながらも、目標水準までの大幅な上値余地に言及し、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、香港の人口動態(人口減少圧力)や、「北部都会区」開発計画のスケジュール面の不透明感を挙げている。