中国の重要ファブ、成熟ノードの価格圧力も2024年下期に需要改善へ

現地コード 銘柄名
00981

中芯国際集成電路製造

(SMIC)

株価 情報種類

14.12HKD
(2/8現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国最大のファウンドリー、SMICの2023年10-12月期決算は市場の予想通りの水準に達したが、同社経営陣が続く2024年1-3月期の粗利益率について、わずか9-11%にとどまる見通しを示したことが、マーケットの失望を招いた。これにより成熟ノード(一般に20nm以上の製造プロセス)の供給過剰に関する懸念が高まった格好。ただ、BOCIは2024年上期の厳しい環境を見込む半面、下期には状況が大きく改善すると予想。理由として需要の改善に加え、ファーウェイやその他ファブレスに向けた14nm以下の新規プロセスノードの投入を挙げた。短期的には設備稼働率の低下を見込みつつ、28nm以下のプロセスノードにおける独自の長期ポジションを評価。予想PBR(株価純資産倍率)1.1倍をベースに目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 10-12月期の売上高は前年同期比4%増(前四半期比でも4%増)の17億米ドルと、同社が事前に示したガイダンスを上回った。消費者エレクトロニクス業界からの緊急受注が寄与した。粗利益率は前四半期を3.5ポイント下回る16.4%と、ガイダンスの下限。平均販売価格の下落圧力と減価償却費の増大が響いた。純利益は1億7,500万米ドル(前年同期比54.7%減)と、BOCIの予想と市場の予想を3%、26%上回った。

 経営陣によれば、2024年には主力セグメントであるスマートフォンやパソコン、IoT(モノのインターネット)製品のけん引で、中国の半導体需要は緩やかに回復する見込み。半面、高水準の在庫を抱える自動車や産業用品では低迷が続く見通しという。

 経営陣のガイダンスでは、2024年1-3月期の粗利益率は9-11%(前四半期比6ポイント低下)。平均販売価格の低下や減価償却費の増大を受け、ここ10年間で最も低い水準にとどまる見通しとなった。また、1-3月期の予想売上高は前四半期比0-2%増(前年同期比約16%増)。2024年通期では前年比で1桁台半ばの伸びにとどまる見通しという。BOCIは2024年には世界の半導体需要が底入れするとの見方。中国での短期的な供給過剰は主に、地政学的要因に起因するとの見解を維持している。また長期的には、同社は国内ICファブレスにとっての重要なファウンドリーであり続けるとし、生産能力の増強部分を満たすのに十分なニーズが期待できるとしている。

 BOCIは成熟ノードの価格下落圧力を反映させる形で、2024年、2025年の予想売上高を7%、8%、予想EPS(1株当たり利益)を49%、29%下方修正。目標株価を引き下げた。新たな目標値は2024-26年の予想PER(株価収益率)で60倍、30倍、23倍に当たる水準となる。また、先端ノードの突破や短期的なノード移行のロードマップの明確化、半導体市場の底入れ観測などを理由に、同社株は再評価に値するとの見方。株価の先行きに強気見通しを継続。レーティング面の潜在リスク要因としては、米中関係と供給リスク、成熟ノードの価格競争、先端ノードの開発の遅れ、マクロ経済および需要の先行きリスクを挙げている。