景気鈍化で医療サービス需要が軟化、2023年収益予想の下方修正も一定の抵抗力

現地コード 銘柄名
06078

海吉亜医療

(ハイジア・ヘルスケア)

株価 情報種類

27.70HKD
(1/24現在)

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 中国マクロ経済の不確実性が続く中、BOCIは海吉亜医療のビジネスの抵抗力を指摘している。中国では消費者心理の低迷を受け、必須ではない選択的な医療サービス需要が後退しているものの、買収した長安医院と宜興海吉亜医院の連結化や、重慶海吉亜医院と単県海吉亜医院の第2期プロジェクトを通じた病床の拡充、さらには傘下の基幹病院の自律的成長が寄与するとの見方。M&A(買収や合併)に関しては、マクロ環境の不確実性から、同社がより慎重姿勢に転じる見通しを示した。香港株式市場のボラティリティーを理由に、WACC(加重平均資本コスト)の想定値を9.7%から10.0%に修正し、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。新たな目標株価は2024年予想PER(株価収益率)で29倍。同17.1倍にとどまる現在株価の過小評価に言及している。

 同社株価は2023年12月以来42%下落したが、これは◇経営陣による収益見通しの下方修正、◇本土医療銘柄の評価切り下げ、◇選択的な医療サービス需要の軟化――が背景。2023年12月通期決算について、同社経営陣は前年比約30%の増収を見込み(長安医院と宜興海吉亜医院の連結効果を含む)、新型コロナウイルスのPCR検査収入を除外した場合は約35%の増収率になるとの見方。また、既存事業の自律的な増収率(買収効果を除く)は約16%と予測し、PCR収入を除外した場合は22%増を見込む。

 2023年の調整後純利益に関して、経営陣は前年比17-20%増(PCR除外で同31%増)との見通しを示しているが、これは前回ガイダンスからの下方修正。主に2022年のPCR収入実績の高さによる反動や、重慶海吉亜医院、単県海吉亜医院の第2期プロジェクトの遅延、2023年の買収を受けた未払い金利の発生が理由という。

 経営陣は続く2024年の調整後純利益について、前年比25%増との保守的な見通しを示している。4つの基幹病院のうち、単県海吉亜と重慶海吉亜が25%、70%の増益を達成すると予想。連結化した長安医院と宜興海吉亜医院の売り上げ貢献と純利益貢献は合計約10億元、約1億元に上るとみる(借入費用除外後)。

 一方、自前の病院建設プロジェクトでは、徳州海吉亜医院(800床)が旧正月をめどに開業する予定。成武海吉亜2期も近く開業の運び。2024年、2025年中にはそれぞれ無錫海吉亜、常熟海吉亞が開業する予定という。

 BOCIは新設および2期プロジェクトの遅れや医療サービス需要の軟化を反映させる形で、2023-25年の予想売上高を1%、2%、5%減額修正。さらに、2期プロジェクトや長安医院、宜興海吉亜医院の低利幅などを考慮し、粗利益率見通しを下方修正。予想純利益を6億8,300万元、9億1,400万元、11億4,000万元に引き下げた。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。