米キヤリアの業務用冷蔵庫部門を全面買収へ、長期のプラス効果を予想
現地コード | 銘柄名 |
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06690 |
海爾智家股フン (ハイアール・スマートホーム) |
株価 | 情報種類 |
20.55HKD |
株価 企業情報 チャート |
世界最大の白物家電メーカー、海爾智家は12月14日、米電機メーカーのキヤリア・グローバルから、業務用冷蔵・冷凍庫部門のCarrier Refrigeration Benelux(CRBB)社を6億4,000万米ドルで全面買収すると発表した。BOCIはこの取引が2025年の業績にインパクトをもたらし、通期売上高を3%押し上げると予想。また、欧州市場での海爾智家の発展を支える上で、長期にもポジティブであるとの見方を示した。今後はCRBBが保有するエコフレンドリーなCO2(二酸化炭素)冷媒技術の開発強化に乗り出すと予想。白物家電のグローバルリーダーというアドバンテージを生かし、長期の安定的な株主還元につなげる可能性を指摘している。
CRBBは米キヤリアの欧州子会社であり、業務用冷蔵・冷凍設備を手掛ける。2022年の売上高は12億米ドル、純利益は5,810万米ドル。買収額はCRBBの2022年予想PER(株価収益率)換算で11倍に当たる水準となる。BOCIは海爾智家の業績に及ぼすインパクトや買収資産の内容を考慮すれば、この買収価格は適正との見方。欧州当局の承認が前提になるものの、2024年末までには買収を完了し、2025年には通期フルにCRBBの買収効果を反映できるとみている。
小売チェーン大手という安定的な顧客を抱えるCRBBは、欧州市場で存在感が大きい。キヤリア・グローバルにとっては非中核資産だったが、同社は自然冷媒をベースとするCO2冷媒技術を保有しており、この技術は今回の買収対象資産の一つ。CRBBの技術や設備、ノウハウは、海爾智家の既存業務や研究開発とのシナジー効果をグローバル規模で創出できる見通しという。
この買収は短期的な影響は限定的ながらも、長期的なプラス効果が大きい。2025年に関しては、海爾智家の2025年の売上高を3%押し上げる見通しだが、合併費用や資金調達コスト(海外で調達する予定)を考慮すれば、EPS(1株当たり利益)の押し上げ効果は1%程度にとどまる見込み。半面、CRBBのビジネスにとって、海爾智家との合併は中国、インドでの顧客の獲得や長期的なコスト低減に寄与する可能性が高い。従って、この買収案件に対する市場の反応は短期的には鈍くても、長期的にはポジティブ。特に中国以外での、さらなる成長余力につながる。
BOCIは買収効果や資金調達コストを反映させる形で、海爾智家の2023-25年の予想EPSを小幅に調整。2024年予想PER13.5倍をベースとする目標株価を維持した。
レーティング面の潜在リスク要因としては、原材料コストや輸送コストが予想外に膨らむ可能性や、米中の不動産市場の低迷、中国と諸外国との予期せぬ貿易摩擦、家電市場における競争激化などの可能性を挙げている。