2023年9月中間期は20%の営業増益、金融費用増で無配も原材料コストが低下

現地コード 銘柄名
00151

中国旺旺控股

(ワンワン・チャイナ)

株価 情報種類

4.63HKD
(11/29現在)

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 台湾系の大手製菓・飲料メーカー、中国旺旺の2023年9月中間決算は、営業利益が前年同期比で20%増加する半面、純利益は9%増の17億3,200万元にとどまった。主に米ドル建て債務に絡む金利コストの増大が純利益を圧迫した要因。同社は金融費用の抑制に向け、米ドル建てから人民元建てへのリファイナンスに動いたものの、中間期の段階では2008年以来の無配を余儀なくされた。ただ、BOCIは短期的に、原材料コストの低下が利益の回復を後押しするとの見方。新製品や販路の拡充も、収益の安定成長に寄与するとみる。目標株価を小幅に引き下げながらも、同社のディフェンシブ性を前向きに評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 9月中間決算では、売上高が前年同期比4%増の112億元にとどまる中、粗利益率の2.4ポイントの改善や販管費の抑制が寄与し、営業利益は20%増の25億元に達した。ただ、米ドル建て借入の金利コストがかさみ、純金融費用は1億900万元と、前年同期の8,300万元から増大。この影響で、純利益は9%増と、BOCIの予想を下回った。

 同社経営陣は金利コストの抑制に向け、米ドル建て借入の大半を人民元建てに借り換えたが、これにより、米ドル建て債務でまかなってきた配当の原資が不足。中間配当の一時見送りが避けられない状況となった。ただ、経営陣は株主利益の最大化に注力する方針を改めて強調している。また、同社は2023年10月からブラックアウト期間(決算発表前の一時休止期間)まで大規模な自社株買いを実施しており、BOCIはこれがマイナス要因を一部相殺するとの見方だ。

 一方、中核事業は堅調。大半の事業部門で原材料コストの抑制という好機を生かし、成長を確保した。経営陣は売上原価の20%を占める粉乳コストについて、年度下期(2023年10月-2024年3月)に10%台半ばの下落を見込む。BOCIは売上原価の30%を占める包装材をはじめ、各種原材料の調達コストが下がると予想。粗利益率の上昇傾向が今年度下期、さらには次年度上期まで続く可能性が高いとしている。また、こうした要因を背景に、同社は選択的に自販機業務や海外展開を進めつつ、合理的な事業の拡大を継続するとの見方。コロナ禍にあった前年実績の低さや製品需要の回復などを理由に、2024年3月通期の収益成長を楽観している。

 BOCIは決算発表後、予想EPS(1株当たり利益)を1-2%下方修正し、目標株価を小幅に引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。目標株価の算出ベースは引き続き、2025年3月期の予想PER(株価収益率)で12倍。一方、レーティング面の潜在的なリスク要因としては、中国経済の減速を受けて売上高が下押す可能性や、予想以上に早期に市場シェアが低下する可能性、原材料コストが急騰に転じる可能性を挙げている。