2023年9月中間決算は予想上振れ、香港・マカオ事業が好調

現地コード 銘柄名
01929

周大福珠宝集団

(チョウ・タイフック・ジュエリー)

株価 情報種類

12.04HKD
(11/24現在)

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 香港系の宝飾品製販大手、周大福珠宝の2023年9月中間決算(2024年3月期の上期)は、売上高が前年同期比6.4%の伸びにとどまる半面、純利益が同36%増の45億5,100万HKドルに達した。BOCIはプレミアムブランド戦略を維持しながらも、コスト管理を徹底した同社の手腕を前向きに評価している。消費マインドの低迷が引き続き重荷だが、香港・マカオ市場では同業他社に対する競争優位を維持しており、営業レバレッジ効果が今後の利益の回復を支える見込み。2025年度の予想PER(株価収益率)で14倍という現在株価のバリュエーションや、予想ROE(自己資本利益率)が28.8%の水準にあることに触れ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年9月中間期の売上高は前年同期比6%増の495億2,600万HKドル。対人民元の香港ドル高という為替変動要因を考慮すれば、悪くない数字だった。粗利益率の改善に向けた価格戦略や販管費の抑制、金価格の上昇による恩恵で、純利益率は2.02ポイント上昇。純利益は36%増の45億5,100万HKドルと、BOCIの予想を上回った。中でも好調だったのが香港・マカオ部門。地域売上高が58%増加し、営業レバレッジ効果も寄与した。

 経営陣によれば、続く10月1日-11月18日の小売販売額は前年同期比21.5%増。中国本土で21%増、香港・マカオは52%増だった。本土の売上高は1年前の2022年10-12月期に前年同期比20%減少した経緯があり、直近の売り上げ伸び率はまずまずというレベル。本土の消費市場は依然低調であり、同社経営陣は2024年3月通期のコア営業利益率について、0.5-0.8ポイントとの控えめな改善見通しを示している。年度上期(2023年9月中間期)に2.8ポイント上昇したことから、下期には低下することを意味するが、これはコロナ後のリオープンに伴う2023年1-3月期実績の高さが一因。BOCIは2024年3月通期の純利益について、前年比37%増を予想。上期とほぼ同水準の利益成長率を見込む。

 同社はバランス重視の新たな戦略的アプローチを採用している。消費市場の回復力の弱さを背景に、店舗のセグメント化や効率的なコスト削減に照準を合わせており、2023年9月中間期の広告宣伝費と包装材調達費は前年同期比46%減。金額では4億800万HKドルの削減となった。ただ同時に、あくまでプレミアムイメージを維持する方針。これが2024年度の相対的な高利益率や、短期的な力強いリターンにつながる可能性がある。

 BOCIは予想以上の販管費の削減を理由に、2024-26年度の予想EPS(1株当たり利益)を6%増額修正。引き続き2025年度予想PER18倍をあてはめ、目標株価を引き上げた。レーティング面の潜在リスク要因としては、小売市場における競争激化と、それに伴い小売価格が低下する可能性、店舗増設ペースがスローダウンする可能性、金価格の変動により予期せぬヘッジ損失が発生する可能性を挙げている。