2023年7-9月期は好調、投資強化による利益率悪化に懸念も

現地コード 銘柄名
00780

同程旅行

(トンチョン・トラベル・ホールディングス)

株価 情報種類

15.14HKD
(11/22現在)

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 中国の有力オンライン旅行プラットフォーム、同程旅行の2023年7-9月期決算は、調整後純利益が前年同期比147%増の6億2,100万元と、四半期ベースで過去最高を記録。BOCIの予想を上回った。BOCIはこの先、回復ペースが鈍る可能性を指摘しながらも、同社が旅行予約市場で、さらにシェアを伸ばすとみている。ただ、競争力を維持するためには投資の強化が必要となるとの見方。新規事業の成長力を評価する半面、最近の買収事例に見られるように、同社全体の利益率の悪化につながる可能性もあると指摘した。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを維持している。

 7-9月期の売上高は前年同期比61%増の33億元。営業レバレッジ効果で、調整後純利益は147%増の6億2,100万元に達した。コロナ禍前の2019年同期実績との比較では、売上高が60%増、調整後純利益が48%増。主に中小都市部での旺盛な旅行需要を背景に、宿泊予約、交通機関予約という2つの主力業務が、それぞれ前年同期比38%、70%の増収を達成した。また、新規事業の急成長を受け、その他収入が103%増加した。

 主力事業の利益率の縮小圧力には対処可能とみられる。7-9月期の調整後純利益率は18.8%と1-3月、4-6月の19.5%、20.7%から低下したが、これは販促費の増大やテイクレート(取り分)の低下によるもの。季節要因と市場競争の激化により、10-12月期も下向く可能性はあるが、同社経営陣は主力のOTA(オンライン旅行代理店)ビジネスの利益率が継続的に上向く見通しを示している。長期的には20%超を目指す方針という。

 一方、買収は短期的に利益率を圧迫する可能性がある。同社は2023年10月、北京同程旅業投資集団(BTTI)の全株式を6億9,100万元で取得すると発表した。BTTIの2023年1-7月の売上高は10億4,700万元、純利益はわずか240万元にすぎず、買収完了後には全体の利益率を押し下げる見込み。BOCIは2024年に向け、消費の低迷と買収による利益率の悪化が投資家の懸念材料になるとみる。

 ただ、BOCIは基本的に、同社の2024年の業績に対して楽観的。前年実績の低さと販促費の抑制を背景に、売上高と調整後純利益がいずれも前年比20%超の伸びを達成し(BTTI買収による影響を含めず)、同業銘柄を上回る見通しを示している。

 また、下期の高利益率や受注の好調を理由に、2023年の予想EPS(1株当たり利益)を34%増額修正。2024-25年については予想売上高の引き上げを反映させ、13%、8%増額修正した(BTTI買収による影響を含めず)。半面、同社がこの先、投資を強化する可能性を指摘。DCF方式に基づく目標株価を引き下げた。新たな目標値は2023年、2024年の予想PER(株価収益率)で34倍、29倍に当たる水準となる。一方、レーティング面の潜在リスク要因として、旅行需要の鈍化や大株主との関係悪化、競争激化、市場防衛のための費用増の可能性を挙げている。