2023年7-9月期は韓国の不振を中国・インドがカバー、プレミアム化戦略が奏功

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

14.96HKD
(11/2現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2023年7-9月期決算は、主に中国とインドで構成される「APAC(アジア太平洋)西」部門のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が前年同期比10%増加し、韓国主体の「APAC東」部門の21%減をカバーした(為替要因を除外、以下同じ)。同社全体の売上高は7.1%の伸び。主に中国・インド市場でのプレミアム化を受けた平均販売価格の6.5%の上昇が寄与した。一方で、販売量は7-9月にわずか0.6%増と、上期の9.4%増から減速したが、これは韓国での不振によるもの。続く10-12月期の販売量について、BOCIは比較対象値の低さから、加速傾向を示すとみる。また、販売量の回復に伴う営業レバレッジ面のプラス効果や、製品構成のプレミアム化、原材料調達価格(主に大麦や包装材)の軟化が、10-12月期と2024年の収益性の向上を後押しするとの見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 部門別に見ると、「APAC西」の7-9月期のノーマライズドEBITDAは10.1%増。売上高は9.9%増(販売量1.1%増、平均販売価格は8.8%上昇)。うち中国では、売上高は8.7%増、平均販売価格は8.9%高だった。販売量は微減となったが、国内業界全体の1桁台半ばの減少に比べれば悪くない成績。外食店の営業再開とプレミアム化が寄与した(スーパープレミアムを含むプレミアムビールの販売量は7-9月に2桁増)。経営陣によれば、スーパープレミアムの販路拡大計画は順調に進行中。BOCIはブランド力やデジタル化を理由に、この分野での同社の先行者利益を見込む。また、インドではプレミアム化がけん引し、2桁増収を達成。EBITDAマージンも前年同期比で上向いた。

 一方、「APAC東」の7-9月期の売上高は5%減。販売量が3.2%減り、平均販売価格が1.9%低下した。ノーマライズドEBITDAは21.1%減。ただ、厳しい市場競争が続く中、マーケティング投資拡大や新製品の開発により、前四半期比で市場シェアを伸ばした。平均販売価格の低下幅も前四半期比で縮小傾向。10月11日には主力製品を値上げしている。

 BOCIは2023-25年の予想純利益を7-6%、予想EBITDAを5-4%減額修正。さらに予想売上高を各3%引き下げ、予想粗利益率を1.2-1.1%ポイント下方修正した。「APAC西」と「APAC東」にそれぞれ、2024年予想EV/EBITDA倍率20倍、10倍をあてはめ、目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している(目標算出基準を2023年予想EV/EBITDA22.4倍、10.7倍から変更)。新たな目標株価は同社全体の2024年予想EV/EBITDA倍率で18.1倍となる(EV/EBITDA倍率はEV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因として、BOCIは市場競争の激化、原材料価格の急上昇、プレミアム化の遅れ、コロナの影響の長期化などの可能性を挙げている。