旗艦ブランド「安踏」とFILAの小売販売額、2023年通期目標は2桁増収

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

91.50HKD
(10/13現在)

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 中国のスポーツ用品大手、安踏体育用品では、旗艦ブランド「安踏(Anta)」と伊FILAブランドの2023年7-9月期の小売販売額が、それぞれ前年同期比1桁台後半、10%台前半の伸びを示した。これはBOCIの予想の範囲内。同社経営陣によれば、中秋節・国慶節の長期連休効果で、9月には前月比で改善したという。続く10-12月期は前年同期実績が低く、BOCIは両ブランドともに、小売販売額の伸びが加速するとみる。2023年12月通期の小売販売目標は、FILAが前年比2桁増、その他新規の取り扱いブランドが40%超の増加となっており、経営陣はこの目標の達成に自信を示している。10月17日のインベスターデーで2023年通期および長期の業績見通しを更新する予定。BOCIは同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

「安踏」ブランドの小売販売額は7-9月期に前年同期比1桁台後半の伸びだったが、これは4-6月期と同じペース。大人向けとキッズ向け実店舗の小売売上高が1桁台後半の伸びを示した。オンラインの小売売上高は4-6月期の1桁台半ばから、7-9月には1桁台前半に減速。販路在庫は前四半期並みの5カ月未満で推移し、前年同期比で改善傾向を示した。また、オフラインの値引き率は7-9月期に前四半期比横ばいの28%だったが、前年同期比の26%との比較では拡大した。品目別では「Anta Champion」シリーズの下で展開するアウトドア製品が好調。マーケティングのノウハウの点で、日本のデサントおよび韓国コーロンとのシナジー効果が出ているという。同社は旗艦ブランド「安踏」の2023年通期の小売販売額目標も、FILAと同様、前年比2桁増に設定している。

  一方のFILAの小売販売額は7-9月期に前年同期比10%台前半の伸び。前年同期実績が高くなったことで、4-6月の10%台後半から減速した。うちオンライン販売はライブコマースの貢献で10%台半ばの伸びとなり、オフラインを上回った。販路上の在庫は5カ月超と、前四半期比で小幅に上昇したが、これは国慶節連休と年末年始商戦に向けた在庫補充によるもの(前年同期の在庫水準は7-8カ月)。オフラインの小売価格の値引き率は前四半期並みの24%と、前年同期の26%から改善している。

 その他ブランドの小売売上高は7-9月期に前年同期比45-50%増。ベース効果で4-6月期の70-75%増から減速した。それでも、この伸び率は同業他社を上回る水準。デサントとコーロンがそれぞれ40-45%増、65-70%増だった。

 BOCIは2023-25年の予想純利益を据え置き、2024年予想PER(株価収益率)30倍に基づく目標株価を維持。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、DTC(消費者向け直接販売)戦略が不成功に終わる可能性や、「FILA」ビジネスの後退、新規事業の進展の遅れ、中国経済と個人消費の弱さに起因するコロナ後の回復の遅れなどの可能性を挙げている。