集中調達制度や「反腐敗」が痛手、2023年通期決算は低調見通し

現地コード 銘柄名
02196

上海復星医薬集団

(シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル)

株価 情報種類

17.46HKD
(10/6現在)

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 民営コングロマリット復星国際(00656)の傘下の製薬会社、上海復星医薬は、製品開発や商業化という点で、国内外企業とのビジネス展開に成功してきたが、短期的にはバイオシミラー(バイオ後続品)を対象とした国内の集中調達制度や、医薬品を対象とした当局の「反腐敗」キャンペーン、さらには支援材料の欠如が影を落とす見込み。BOCIはSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を大きく引き下げ、株価の先行きに対する見方を強気から中立的にダウングレードした。現在株価の2024年予想PER(株価収益率)は10倍と、同業の大手製薬銘柄の平均9.4倍をやや上回る水準にある。

 2023年12月通期決算はさえない内容となる見込み。6月中間期の段階では、売上高は前年同期比ほぼ横ばいの213億元。新型コロナウイルス関連製品(mRNAワクチン「コミナティー」や検査キットなど)の大幅減収が響いた。コロナ規制が解除されたにもかかわらず、医療サービス部門も鈍い回復ペース(中間期の損失は2億6,800万元と、前年同期の4億4,200万元から縮小)。同部門は今後、オンライン業務の最適化や業務効率の改善、損失の削減に照準を合わせる方針という。一方、医療機器部門も新型コロナの検査関連業務の減収や、海外の消費低迷、周期的な美容機器分野の低調に直面する結果となった。

 同社の成長のけん引役は、PD-1阻害剤やトラスツズマブのバイオシミラー、アキシカブタジェン・シロロイセル(CD19標的CART療法)、RT002(長期持続型ボツリヌス毒素)などの新薬および準新薬。25年以降には各種バイオシミラーとPD-1阻害剤の海外売り上げの貢献が期待されるという。ただ、BOCIは中核製品「HANQUYOU」(トラスツズマブ)、「HANLIKANG」(リツキシマブ)の市場シェアがすでに高水準にあることを理由に、バイオシミラーの販売伸び率が減速する可能性を指摘。さらに特許切れ後のバイオシミラーや創新薬を対象とした集中調達制度による影響、医薬品業界の汚職取り締まりキャンペーンによる影響、競争激化の可能性に言及し、短期的な成長に関しては慎重見通しを示している。

 BOCIは新型コロナ関連製品の収益喪失や一部中核製品の競争激化、HANQUYOUとHANLIKANGの24年の販売減速見通し、汚職取り締まりキャンペーンによる一部製品への影響、集中調達制度による影響などを反映させる形で、収益モデルをアップデート。製品構成の変化を考慮し、23年通期の予想粗利益率を上方修正する半面、2023-25年の研究開発費と一般管理費の対売上比率を増額修正し、目標株価を引き下げた。

 一方、レーティング面では、下方修正リスクとして、バイオシミラーの集中調達制度の全国的な広がりや、新製品が鈍い出足となる可能性、主要臨床試験の失敗や遅れ、経営陣の顔ぶれの変化などの可能性を指摘。逆に上方修正につながる要因としては、予想以上の販売好調とパイプライン(製品候補群)の進展を挙げている。