国内最有力のクラウド事業、早ければ2023年中に損益分岐点到達へ

現地コード 銘柄名
00728

中国電信

(チャイナ・テレコム)

株価 情報種類

3.85HKD
(10/5現在)

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 中国の大手通信キャリア、チャイナ・テレコムが、国内最大のクラウドサービス事業者に躍進しつつある。2023年上期のクラウド事業の売上高は前年同期比63.4%増。BOCIは2023年下期か2024年中にも、EBIT(利払い・税引き前利益)ベースで損益分岐点に達するとみている。目標算出ベースを2024年予想に切り替えたのに伴い、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく同社H株の目標株価を上方修正。この先、クラウドサービス「天翼雲」の採算化見通しが透明化すれば、一段の目標株価の引き上げもあり得るとした。株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 チャイナ・テレコムのクラウド・コンピューティング収入は2023年中間期に前年同期比63.4%増の459億元。経営陣の通期目標である1,000億元の達成が視野に入った。クラウドサービス「天翼雲」(Tianyi Cloud)を展開する同社は、ナンバーワンの政府機関向けパブリッククラウド・インフラ・プロバイダーであり、DaaS(Desktop as a Service)プロバイダーとしても最大手。さらにSASAC(国務院国有資産監督管理委員会)が展開する産業用パブリッククラウド・プロジェクト40件において、60%のシェアを握る。BOCIはインターネットサービス企業などの競合他社を上回り、同社が最大のクラウド事業者になるとの見方だ。

 同社は「雲網融合」(クラウドと通信ネットワークの融合)という極端に垂直統合型のアプローチでクラウドインフラを構築している。フルレンジのハードウェアや独自のオペレーティングシステム、クラウド・ネイティブ・データベースを保有し、大規模IDC(インターネット・データセンター)2カ所を中心に据えた「2+4+31」型の全国コンピューティングパワー・ネットワーク、270都市をカバーする1都市1クラウド・リソースプール、さらにはクラウド・インテリジェント・コンピューティングおよびスーパーコンピューティング・ネットワークなどを配置する。

 BOCIによれば、3大通信キャリアが展開する「雲網融合」アプローチは、非通信系のクラウド事業者(主にインターネットサービス事業者)に比べ、事業運営費の対売上高比率が低く、比較的早くEBITの損益分岐点に到達することが可能という。

 BOCIはチャイナ・テレコムを通信セクターのトップピックとし、DCF方式に基づくH株の目標株価を引き上げた。最新目標は2023年予想PBR(株価純資産倍率)で約1倍。2024年予想配当利回りは7.5%の水準となる(70%の配当性向を想定)。同社H株は年初来33%値上がりしたが、上期の業績堅調と配当性向の引き上げ方針を理由に一段の上値を見込み、クラウド事業次第ではさらなる目標株価の引き上げもあり得るとした。

 一方、レーティング面の潜在的なリスク要因としては、同社とその主要ベンダーが米国の制裁下にある点を指摘。必要な技術を確保できなくなる可能性に言及している。