今や多くの方が利用されているふるさと納税ですが、この10月からルールが厳格化されました。返礼品目的で利用されている方が多い制度ですが、そもそも何を目的に始まった制度なのか?これまでどのようなルール変更が行われてきたのか?をご存じない方も多いかもしれません。
今回はそんなふるさと納税の遍歴と10月以降の上手な活用法についてお話します。
2008年スタート!ふるさと納税の目的は?
返礼品がもらえることで人気の高いふるさと納税ですが、もともとは都市と地方の税収の格差を是正するためにつくられた制度です。2008年に地方自治体への寄付が寄付金控除の対象となる通称「ふるさと納税」が始まりました。
ふるさと=地方自治体に寄付をすると、2,000円は負担した上で、それ以上の寄付金額が各自の上限額まで全額控除されます。この寄付に対し、寄付先の自治体からお礼の品がいただけるため、ふるさと納税が広まっていくことになりました。
2015年ワンストップ特例制度の開始!
特に多くの方に知られるようになったきっかけは2015年のワンストップ特例制度の開始です。
寄付金控除を受けるには確定申告をしなければいけませんが、そもそも確定申告をする必要のない方で5団体以内の寄付の場合には、ワンストップ特例制度の申請書を提出することで寄付金控除を受けることができるようになりました。
確定申告をするにはハードルが高かったサラリーマンもワンストップ特例制度の開始によって、手続きが簡単になりました。また、ワンストップ特例制度の開始と同時に自己負担が2,000円で済む寄付金額の上限が住民税の約1割から約2割に引き上げられたため、ふるさと納税がさらに広がることになりました。
2019年ルールの厳格化第1弾!
こうしてふるさと納税が広く知られるようになったことで、寄付金を集めたい各自治体による返礼品競争も高まってしまいました。
寄付をしてもらうために返礼品をよいものにしようとしたのです。還元率の高いものや換金性の高いものが多く出回るようになったため、2019年に返礼品の規制が始まり、3つのルールが追加されました。
- 返礼品は寄付金額の3割以内の価格のものにすること
- 返礼品は地場産のものとすること
- 換金性の高いものは返礼品にしないこと
2023年ルールの厳格化第2弾!
そして今回この規制がさらに強化され、2点の項目が追加されました。
- 返礼品は3割以内の価格かつ事務費用、送料などの必要経費を含め寄付金額の5割以下とすること
- 加工品のうち熟成肉と精米について原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限ること
今回のルール厳格化は改悪と表現されることもありますが、経費を5割以下とした返礼品になれば地方の税収は増えることになりますし、地場産のものを返礼品とすることで地方の産業の活性化につながるので、本来の目的に沿った形と言えるでしょう。
納税者もうれしい返礼品を選びたい!三方良しのふるさと納税を教えて!
ふるさと納税は地方自治体の税収を増やし、応援するための制度です。
とはいえ、返礼品はうれしいものです。
納税者も自治体も地方の産業も潤うふるさと納税の活用法をご紹介します。
1.旅行券、体験チケット
旅行券や体験チケットなどは送料など経費を抑えることができるため、経費を含め5割以下のルールでも返礼品の金額の上限の3割に近い還元率が期待できます。
さらに、現地で利用することになるので、現地で食事をしたり、レジャーを楽しんだり、お土産を買うなど地方に直接経済効果が生まれます。
ただし、有効期限や使用条件があるので事前によく確認してから寄付するようにしましょう。
2.特産品
地域の特産品を返礼品に選ぶことで現地の農家を応援することができ、地元産業の活性化につながります。返礼品の価格は寄付金額の3割以内と定められていますが、農作物の訳あり品など市場には出回らない商品を返礼品としていただくこともできます。
注意点としては特産品を選んだ際は配達日を指定することができない場合が多いことです。また、大容量であることが多いので、冷蔵冷凍などの保管方法や賞味期限にも注意しておきましょう。
3.日用品
工場を持つ自治体では日用品を返礼品としていただける自治体もあります。物価高が続くので、トイレットペーパーや洗剤などの日用品をふるさと納税で賄えたらうれしいですよね。こちらも大容量であることが多いので、保管場所を確保してから頼むようにしましょう。
4.ふるさと納税ポータルサイトでポイントGET
ふるさと納税をする際はポータルサイトを利用します。その際、各ポータルサイトでポイント還元を受けることができます。時期によってポイントアップのキャンペーンをしていることもあります。特にこれからの時期は年末のかけこみ寄付に合わせてキャンペーンをしていることが多いです。各ポータルサイトをチェックしてみましょう。
いかがでしたか? 地方を応援でき、納税者もうれしいふるさと納税、これからも続いてほしいですよね。制度の意図を理解すれば三方よしのふるさと納税ができると思います。
都市部の減収が問題になってもいますが、そこは税収を都市部から地方に移したいというふるさと納税本来の目的を再確認し、行政の無駄を削減して対応していただきたいところです。
今後も制度のルールの厳格化は行われていくと思います。地方創生と都市部の発展のバランスを取りながら納税者が喜んで納税できるような制度になっていくといいですね。