2023年中間期は純利益倍増、火力発電事業の損失縮小が寄与
現地コード | 銘柄名 |
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01071 |
華電国際電力 (フアディエン・パワー・インターナショナル) |
株価 | 情報種類 |
3.16HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国5大電力グループの一つ、中国華電集団傘下の電力会社、華電国際電力の2023年6月中間決算は、純利益が前年同期比111%増の24億200万元に達した。火力発電事業の大幅な業績改善が関連会社・合弁会社の利益貢献の縮小をカバーした。関連会社・合弁会社利益が同期の純利益全体に占める割合は約95%。BOCIは投資のメリットを評価するためにはキャッシュフローと配当を精査する必要があると指摘した上で、たとえ傘下の再生可能エネルギー会社の本土A株市場での上場計画が延期となっても、同社は50%の配当性向を維持するために十分なキャッシュフローを保持していると結論づけた。目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
一時異常に高騰した一般炭(燃料用石炭)価格が正常化したことで、中間期には主力の火力発電事業の損失が大幅に縮小した。経営陣によれば、赤字が続いたのは石炭火力発電ユニットの約3分の1、ガス火力発電ユニットの半数だったという。同期の純利益24億200万元(永久債持ち分を除外)の大半は関連会社・合弁会社の利益貢献だが、特に31.03%を保有する華電新能源(Huadian New Energy)の貢献が非常に大きく、中間期の利益全体の80%を占めた。一方、平均借入コストの低下により、金融費用は前年同期比10%縮小している。
傘下の華電新能源のA株IPO(新規株式公開)計画が延期となる可能性が高まる中、BOCIは仮に、華電新能源が上場までの間、配当を実施できなくなっても、華電国際電力は50%の配当性向を維持するだけの能力があるとの見方。設備投資の縮小見通しや(再編後には火力発電と揚水発電に注力する方針)、火力発電事業の運転資金が安定的であることをその理由に挙げた。向こう2年にわたってフリーキャッシュフローを維持し、負債を増やすことなく、1株当たり0.2-0.3元の配当を実施するだけの余力があるとしている。
火力発電事業の利益率が今後さらに拡大した場合、配当利回りも一段と上向く可能性があるが、BOCIは実際には、同事業の利益率に関して慎重。2024年の火力発電の電気料金設定においては、石炭価格の軟化が重しとなる可能性を指摘している。中間決算発表後のカンファレンスコールでは、同社経営陣は配当政策について明確な方針を示さず、高配当性向を維持する意思があるのかどうか不透明感が高まったという。
BOCIは石炭取引事業の拡大見通しを反映させる形で、2023-24年の予想売上高を18-20%増額修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。新たな目標株価は2024年の調整後予想PBR(株価純資産倍率)で0.9倍に当たり、2024年予想配当利回りでは6.8%の水準となる。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、火力事業の採算性が予想を下回る可能性と、予想外の減配の可能性を挙げている。