根強い人気!「株主優待目的」の株式投資
皆さんは、株式投資をする際、どのような基準で銘柄を選んでいますか? 成長性や割安度、配当金、今後注目されるテーマなど、さまざまな切り口で銘柄選びをされていることと思います。
その中の一つの手法が、株主優待を主目的とした銘柄選びです。特に株式投資の初心者に人気の手法です。
例えば、成長性や割安度を基準に銘柄選びをしようとすると、ファンダメンタル分析を行い、将来株価が上昇する可能性が高いと思われる銘柄を選ぶ必要があります。多くの投資初心者にとって、この作業はかなりハードルが高いものと言えるでしょう。
その点、優待目的の投資であれば、ご自身が気に入った優待を行っている会社の株を買えばよいだけなので、かなり手軽に投資をすることができます。
ただし、優待目的であろうが投資は投資です。そこで、大きな損失を避けるために優待投資家が注意しておかないといけない点を今回と次回の2回にわたりお伝えしたいと思います。
注意点1:最低限のファンダメンタルはチェックする
企業が優待を行う源泉は、当然ながら企業の利益です。優待をするにもコストがかかっています。
そのため、企業業績が悪化した場合、優待の内容が変更となったり、優待そのものが廃止されることもあります。
銘柄によっては、優待があるから、なんとか株価が維持されているというものもあります。このような銘柄において、株主にとって不利な優待内容の変更や、優待の廃止が発表されると、株価は大きく下がることになります。業績だけではとてもその銘柄に投資するに値しない高い株価がもともとついているからです。
一方、利益をしっかり上げることができている会社であれば、優待内容が縮小されたり、廃止されたりしても株価への影響は限定的なものにとどまる可能性が高いでしょう。
したがって、株主優待を維持できるだけの利益を毎期維持できているか、今後も維持できる見込みかを確認する程度の最低限のファンダメンタルはチェックしておくべきです。
注意点2:株価が下がったときどう対応するか、あらかじめ決めておく
優待目的で投資をしている個人投資家の多くは、株価が下がったときどう対処するかをあらかじめ決めずに投資しているように見受けられます。
確かに、優待はその銘柄を持っていないと受けることができませんし、売ったり買ったりするということはあまり念頭にないでしょうから、基本は長期保有を続ける「バイ・アンド・ホールド」のスタンスを取ることになります。
また、近年は株式の保有期間が長いほど優待の内容を充実させるという会社も増えており、なおさらバイ・アンド・ホールドの傾向が強まっています。
しかし、株価が大きく下がってしまうと、確かに優待は得ることができても、それを大きく上回る含み損が生じてしまいます。業績悪化などで優待が廃止されてしまえば、株価は大きく下がりますし、優待ももらえなくなりますから、多額の含み損を抱えた塩漬け株ができあがってしまい、手も足も出なくなってしまいます。
ですから、株価が下がったらどうするのか、損切りするのかしないのか、損切りしないのであれば株価が大きく下がって多額の損失を被ってしまうことを覚悟の上でバイ・アンド・ホールドするのか、買う前にしっかりと決めておく必要があります。
ちなみに、筆者は多額の含み損をかかえた塩漬け株を持つことこそが個人投資家が株式投資で失敗する最大の要因と考えているので、株価がどこまで下がったら損切りするかを必ず決め、実行するようにしています。
注意点3:損切りしないならできるだけ安く買うことを心掛ける
とはいえ、特に保有期間により優待の内容が大きく異なるような銘柄であれば、株価が下がったからと売ってしまうと、保有期間がリセットされ、期待した優待を得ることができなくなってしまいます。
そのため、株価が下がっても損切りをしたくない、と考えている優待投資家の方も多いと思います。
もし損切りしないのであれば、あとは「できるだけ安く買う」ことを心掛けるしかないと思います。
ここでの「できるだけ安く買う」というのは、今の株価から5%、10%程度下がったところで押し目買いする、という感覚ではなく、「〇〇ショック」のような、マーケット全体の急落・暴落により、企業実態以上に大きく売られたときを狙うということです。
銘柄によっては株価が2分の1、3分の1と大きく値下がりしますが、株価下落が落ち着いて平時に戻れば、株価は元の水準に戻ることが多いです。
いつマーケット全体が急落するのか、そもそも急落そのものが近い将来起きるのか、それは誰にも分かりません。
でも、損切りせずに、大きな損失を被るリスクをできるだけ回避するためには、できるだけ安く買うことを心掛けるほかないと思います。
なお、マーケット全般が堅調にもかかわらず一部の銘柄の株価が下がっているような場合は、その銘柄の業績が悪化している可能性が高く、優待内容の縮小や廃止の可能性も高まります。安く買うのであれば、あくまでもマーケット全体の急落時の、企業価値以上に売り込まれた局面を待つことをお勧めします。