ついにあと3カ月でジュニアNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)が終了してしまいますね。利用が伸び悩み制度廃止が決まったジュニアNISAですが、足元ではジュニアNISAの口座開設数が急上昇しています。

 年内で終了してしまうジュニアNISAを駆け込みで利用するメリットは何でしょうか。そして、2024年以降、子どもの資金はどのように運用していけばよいのでしょうか?

2023年内は新規投資可能!ジュニアNISAは駆け込み利用すべき?

 多くの金融機関が、9月末でジュニアNISAの新規口座開設の受付を終了します。しかし、今もなお駆け込みで口座開設する方が多いようです。なぜ制度が終わるにもかかわらずジュニアNISAを利用するのでしょうか? その理由は大きく三つあげられます。

理由1:親のNISAやつみたてNISAとは別枠で非課税運用ができるから

 一つ目は親のNISAやつみたてNISAとは別枠で非課税運用ができるという点。世帯として考えると、子どもがいる場合は親のNISAやつみたてNISAに加えてジュニアNISA分も非課税で運用できるということになります。

 また、ジュニアNISAの非課税期間終了までは来年から始まる新NISAの非課税枠とも別枠で非課税運用をすることができます。通常、投資でもうけた利益には約20%の税金がかかるので、世帯の非課税枠が増えるというのは大きなメリットと言えるでしょう。

理由2:子どもが18歳になるまで非課税で運用を続けられるから

 二つ目は、2023年までにジュニアNISAで投資した分は子どもが18歳になるまで非課税で運用を続けることができるという点です。今まではジュニアNISAの非課税期間は5年間で、延長したい場合は次の非課税期間の枠に移す手続き「ロールオーバー」をしなければいけませんでした。

 しかし、ジュニアNISA終了に伴って、2024年以降は5年間の非課税期間が終了した場合でも、ロールオーバーなしで子どもが18歳になるまで非課税運用を続けることができるようになります。

 ジュニアNISAは現在の一般NISAに準じた商品を運用することができます。親の一般NISAで株式を購入している場合は最長5年の非課税期間終了後に課税口座へ移管されてしまいますが、ジュニアNISA口座なら子どもが18歳になるまで非課税で株式を保有し続けることができます。

 子どもの年齢によってはジュニアNISAを利用することで親のNISAよりも長い非課税期間で運用を続けることができます。

理由3:子どもが18歳になる前でも、ジュニアNISA口座で得た利益を非課税で引き出せるようになるから

 三つ目は、子どもの年齢にかかわらず、ジュニアNISA口座の商品を売却して口座からお金を引き出せるようになるという点。ジュニアNISAは、子どもが18歳になるまで金融商品やお金をジュニアNISA口座の外に出す「払い出し」が原則できません。

 18歳になる前に払い出しをする場合、それまでジュニアNISA口座で得た利益に対し、さかのぼって課税されてしまいます。これは、ジュニアNISAに子どもの将来のための長期的な資産形成を促すという狙いがあるためですが、使い勝手の悪さから批判が集まっていました。

 制度終了に伴い、2024年以降はいつでも非課税で払い出しができるようになります。学費が必要になったタイミングなどに現金化できるのは安心です。

 ただし、払い出しをする際は保有中の商品やお金の全てを引き出し、ジュニアNISA口座は廃止となります。一部のみを引き出すことはできません。これは2023年内も2024年からも変わらないルールなので注意しましょう。

 制度終了に伴ってジュニアNISAのメリットが増えたという印象です。新NISAで非課税枠は大幅に拡大しますが、せっかく別枠で非課税運用がスタートできるのですから、今からジュニアNISAも始めておくとよいでしょう。

今から始めるジュニアNISA 注意しておくことはある?

 ただし、注意点もあります。今まではジュニアNISAを利用していた子どもが18歳になると自動的にNISA口座が開設され、ロールオーバーができることになっていましたが、新NISAへの制度変更に伴って、ジュニアNISAを新NISAにロールオーバーすることはできなくなります。

 2024年以降は、子どもが18歳になるとジュニアNISAで保有している商品は課税口座へ払い出されることになります。その際、課税口座に払い出された時の時価が取得価額となり、その後の値上がりに対して課税されてしまうので、課税口座に払い出されるタイミングで値下がりしていた場合は特に注意が必要です。

 上がっていても下がっていても課税口座に払い出されたあとの利益に対しては課税されてしまいます。いったん売却して新NISA口座で買いなおすなど工夫しましょう。

ジュニアNISAの運用資金今後はどうする?

 今までジュニアNISAで新規運用していた分は、今後は新NISAに切り替えるとよいでしょう。新NISAではつみたて投資枠が年間上限120万円、成長投資枠が年間上限240万円(生涯で総額1,800万円まで)と非課税運用枠が拡大されます。年間の投資上限額が増えるのでジュニアNISA分を新NISAにあてることができます。

 新NISAでは非課税期間が無期限となり、売却したあとも非課税枠が復活します。今までは非課税期間がNISAでは5年、つみたてNISAでは20年と制限があり、途中で売却した場合には非課税枠は復活しないという縛りがありました。新NISAは売却しても非課税枠が復活するので、学費として使った後に老後資金準備などのために再度非課税運用をスタートすることもできます。

大家族FP・橋本家はどうするの!?

 我が家は3歳から中学生までの子どもが6人います。今までNISAとジュニアNISAを利用しており、今年は可能な限り枠を使っておく予定です。来年からの新規投資は夫婦の新NISAでつみたて投資を続けます。

 今までNISAで運用をしていた分は5年で非課税期間が終了したあとにロールオーバーができないので、非課税期間が終了したら売却し、新NISAで運用しなおすつもりです。

 ジュニアNISAについては、我が家にはまだ小さい子どももいるので5~15年の非課税期間があります。こちらも非課税期間終了まで据え置く予定です。事前に売却するということはせずに課税口座に払いだされるタイミングで売却し、子ども自身の新NISAで運用しなおして、必要なときに現金化していけばよいかなと思っています。

 私自身は家計や経済、運用に関するアンテナを常に張り、すぐに行動に移せたおかげでNISAやジュニアNISAも制度開始当初から利用することができました。

 個人的には貯金であっても投資であっても、金額の大きさではなく、長く続けるということが資産形成において一番大切な要素であると思っています。投資には「始める」ハードルと「続ける」ハードルがあります。早く始めて長く続けることで誰でも資産を築くことができます。

 そして投資をするなら非課税制度を利用しない手はありません。NISAやジュニアNISAについて興味を持った方は、少額でよいのでなるべく早く運用を始めてみることをおすすめします。