2023年4-6月期は12%超の増益、コスト抑制やデジタル化が寄与

現地コード 銘柄名
06690

海爾智家股フン

(ハイアール・スマートホーム)

株価 情報種類

24.25HKD
(9/1現在)

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 世界最大の白物家電メーカー、海爾智家の2023年4-6月期の純利益は前年同期比12.6%増と、ほぼ市場コンセンサス予想の範囲内だった。不動産市場の不振が続いたにもかかわらず、エアコンの売り上げが上期に前年同期比23%増加し、国内売上高の10%増をけん引した。プレミアムブランドの「カサルテ(Casarte)」シリーズは上期に戦略的な調整を行っており、下期には販売が加速する見通しという。海外販売に関しては、先進国の景気悪化が響く可能性があるものの、BOCIはデジタル化とブランド再活性化に向けた同社の努力を評価し、2023年通期決算においても2桁の利益成長を確保すると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 4-6月期の売上高は前年同期比8.4%増の666億元。最終利益と調整後純利益はそれぞれ12.6%増の50億元、14.1%増の49億元と、ほぼ市場の予想通りの水準に達した。販管費の効率的な管理によるもので、純利益率は上期に6.8%と、0.6ポイント改善した。

 上期にはエアコンの売上高が前年同期比23%増と好調だったが、これは高温の影響に加え、エアコン部門の競争力強化に向けた同社の取り組みが奏功したため。具体的には部品全体の内製化やチームの再構築、社内の全機能のデジタル化が好結果につながったという。続く7月、8月の売上高は前年同月比で10%弱縮小したものの、同社はより洗練された戦略へのシフトを理由に、10-12月期の販売回復に自信を示している。

 プレミアムブランド「カサルテ」の売上高は4-6月期に14%増と、1-3月期の1桁台後半から加速した。同社は高級品モールでのプレゼンスの拡大により、国内市場での「カサルテ」人気が続くとみている。

 一方、海外市場では成長軌道の回復に向け、戦略を調整する方針。4-6月期には特に欧州での減収が響き、海外売り上げが減速した。経営陣はインフレ高進が主因とみて、イタリアの家電子会社キャンディ(Candy)のブランド再構築を行う方針。製品価格の高め設定により、下期には欧州部門の採算性が大きく改善する見通しという。

 BOCIは上期の業績を踏まえ、2023-25年の予想EPS(1株当たり利益)を小幅に調整(2%下方修正-0.2%上方修正)。2023年通期に関しては、調整後ベースで前年比約15%のEPS伸び率を予想している。1HKドル=0.93元の為替レートを想定し、2023年予想PER(株価収益率)15倍をベースに目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 レーティング引き下げにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、原材料コストや輸送コストの予想以上の高騰、中国・米国の不動産市況の一段の悪化、諸外国との予想外の貿易摩擦の激化、家電市場における一段の競争激化などの可能性を挙げている。