2023年中間期は実質30%の営業増益、プレミアム化戦略が奏功

現地コード 銘柄名
02319

中国蒙牛乳業

(チャイナ・モンニュウ・デイリー)

株価 情報種類

26.40HKD
(9/1現在)

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 中国の乳業大手、中国蒙牛乳業の2023年6月中間決算は、純利益が前年同期比18.5%減の30億5,600万元にとどまる半面、コア営業利益が30%増加し、いずれもBOCIの予想を上回った。プレミアム化を通じた利益率の改善や効果的なコスト管理が寄与した。経営陣は中国乳製品業界の先行きに対して引き続き楽観的であり、自社のプレミアム製品に対しても自信を示しているが、BOCIは短期的に、国内の消費減速による影響は避けられないとの見方。それでも業界のリーダーとしての地位固めや質の高い成長を実現するために、同社が正しい路線を歩んでいると前向きに評価している。また、業界全体が転換点を迎える前に、配当や自社株買いで株主還元の強化に動く可能性があると指摘。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 6月中間期の売上高は前年同期比7%増と、経営陣が3月に示した予想レンジの下限だった。純利益は18.5%減の30億5,600万元。ただ、前年同期に計上した一過性利益10億元を除くコア営業利益は30%増。営業利益率は6.41%へ1.13ポイント上昇し、同社が事前に示した見通し(0.3-0.5ポイント改善)とBOCIの予想を上回った。原料乳(生乳)価格の軟化や製品構成の改善に伴う粗利益率の上昇と販管費の効果的な抑制が寄与した。

 上期には「Milk Deluxe」(前年同期比10%強の増収)などの一部製品が業界トップクラスの成長を達成したが、経営陣はその他製品の売れ行きに関しては満足しておらず、景気減速圧力が続く中で、今後は弱点となっている製品により多くの資源を振り向ける計画。同時にプレミアム化を継続する方針を明らかにしている。

 経営陣は2023年通期の増収見通しを「前年比1桁台後半」から「1桁台半ば」に下方修正。営業利益率は「前年比0.5ポイント改善」の目標を据え置いた。上期に1.13ポイント改善しており、目標はかなり控えめだが、BOCIは2024年のパリ五輪など今後のイベント向けのプロモーション強化を考慮すれば、利益率目標の据え置きは理解できるとしている。

 短期的に中国経済の鈍化が見込まれる中、同社は傘下の艾雪(Aice)を通じた東南アジア事業の強化や配当・自社株買いを通じ、株主還元の強化に動く可能性が高い。

 BOCIは経営陣が示した最新のガイダンスと、乳製品市場の成長鈍化(特に乳児用ミルクやチーズ)を反映させる形で、2023年のコアEPS(1株当たり利益)予想を5%、2024-25年の同予想を10-13%減額修正した。それでも同社業績は乳業セクターでトップクラスであり、2023-25年に年率平均11%超の利益成長を遂げるとの見方。2024年予想PER(株価収益率)をベースに目標株価を引き下げながらも、業界を代表するポジションと財務の改善を前向きに評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、予想外の売れ行き悪化や販管費の増大、減損の発生、競争激化、配当・自社株買いが予想を下回る可能性などを挙げている。