通貨は投資対象ではなく、あくまでも資産!

 H氏は、現在、金融資産の半分を米ドルで保有して運用しています。その額はおよそ10億ドル強。運用しているのは米ドル建ての仕組債や劣後債、株式型投信などで、何も特別なものではありません。

 ポイントは、投資という点では円資産とドル資産を、それぞれ分けて検討するという点にあります。例えば米国株式に投資をする国内投資信託は避けます。なぜなら、投資信託の基準価額は米国株式と通貨の変動がミックスされて表示されるため、通貨もいずれクローズする投資対象になってしまうからです。

 富裕層が分散ポートフォリオを組む場合、投資先資産(アセットクラス)と通貨は切り離して考えます。H氏も資産の約半分をドルで保有し、その上でドル資産の運用と円資産の運用は別途検討しています。富裕層ならではの、膨大な資産を長期運用する場合に必要なスタンスを貫いているのです。