株価関係ナシ、惚れた企業を狙い撃ち

 C氏の買付注文はいつも唐突。気になった銘柄があれば、くまなく企業情報や財務内容を調べ上げ、成長ストーリーの仮説を立て、これだと確信したら「○○という会社を買いたい、今すぐ欲しいがどれくらいで買えるの?」という早急な電話があります。惚れてしまったら早く欲しくてたまらず、そのときの株価が高くても気にならないのです。

 チャートはいつも週足や年足でみる年単位の長期チャート。そして常に成り行き注文です。ニューヨーク市場に取り次ぐ際、急な価格変動による成立を避けるために指値注文を出す場合も、かなり低い価格設定をされるので、ほぼその日のスタート値で取引が成立します。為替変動も気にしません。金額も予定額全てを一回で買い切ります。

 私もつい、「もう少し下がったタイミングを見てはいかがでしょうか」と言ってしまうこともありましたが、B氏は思い立ったらすぐ欲しいとのことで買ってしまいます。すると、不思議なことにB氏が買った銘柄の株価は、そこからさらに上がっていくのです。

 研究熱心なB氏が目をつける銘柄にはニッチな銘柄も多く、日本の証券会社からは取り次ぐことができないような新興企業や欧州の会社を買いたいといわれたことが何度もあります。目利きのポイントは、その会社の事業内容や研究分野がビジネスとして大きな将来性があるかどうか。そしてその内容に、自分が惚れ込めるかどうか。お気に入りのアイテムを買い集め、並べて楽しむ、というような、いわばコレクター風の投資スタイルです。