2024年から新しくなる「新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」ですが、その陰でひっそり廃止が決まっているのが、18歳未満の子ども名義で投資ができる「ジュニアNISA」。お子さんの学費や将来のために投資をしていたパパママたちの間では「廃止したあとどうなるの?!」「2024年から子ども資金どうしよう?!」と衝撃が走っています。

 そこで、トウシルでは、すでにジュニアNISA口座を持ち、お子さんのために資産形成に奮闘している4人のパパママをお呼びして座談会を実施しました! 皆さん、ジュニアNISA廃止後、どうする予定ですか?

座談会参加者プロフィール


サエ先生

NISAと、新NISA制度を世に広めたいと熱く願う楽天証券のNISA担当。皆さんの不安を解消できるよう、ジュニアNISA廃止後の流れを解説します!

ユイママ
家族構成:自分、夫、長男(1歳)
ジュニアNISAを始めた年:2022年
そのきっかけ:非課税枠の最大活用のため、2023年の終了までは満額積もうと思った
今、ジュニアNISAで保有している主な商品:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

トコママ
家族構成:自分、夫、長女(2歳)、次女(0歳)
ジュニアNISAを始めた年:2020年
そのきっかけ:第一子が生まれたタイミングで口座開設
今、ジュニアNISAで保有している主な商品:楽天・全世界株式インデックス・ファンド

リョウパパ
家族構成:自分、妻、長女(1歳)、長男(0歳)
ジュニアNISAを始めた年:2022年
そのきっかけ:長女誕生をきっかけに。2023年で終了することがきまり、払い出し制限も緩和されたため
今、ジュニアNISAで保有している主な商品:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)iFreeレバレッジ NASDAQ100

エリママ
家族構成:自分、夫、長女(13歳)、次女(10歳)
ジュニアNISAを始めた年:2022年
そのきっかけ:学資用積み立ての一部を、投資信託で保持したいと思ったため
今、ジュニアNISAで保有している主な商品: eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

ジュニアNISAとは?

 親権者がお子さん(未成年者:0~17歳)名義で資産形成できる制度。毎年、上限80万円まで投資でき、最長5年間、投資から得た利益が非課税となります。2023年12月で制度が終了することが決まっています。詳しくは楽天証券「ジュニアNISA」をご確認ください。

ジュニアNISA廃止、みんなどう思った?

サエ先生:皆さん、今日はお集まりいただき、ありがとうございます! さっそくですが、ジュニアNISAで投資を頑張っていらっしゃるパパさん&ママさん、「ジュニアNISAがなくなる」と聞いてどう思いましたか?

トコママ:最初は「エエ~!?(涙)」って思いました(笑)。私は第一子が生まれた2020年からジュニアNISAを始めていて、この枠を使って長く投資を続けるつもりでいたのに、予定が狂っちゃうって思いましたね。

 だけど、廃止が発表された後に、ジュニアNISA関連の記事が、Webなどでたくさん情報発信され始めて、それを読んだら「あれ? 廃止後は自由に払い出すことができて、結局便利になるらしいから、これはこれでアリか…」って思いました。

サエ先生:そうなんです。廃止が発表されてから逆に注目が集まって、駆け込みでジュニアNISA口座を開設される方も増えているんです。案外ポジティブなとらえ方をしてくださる方も多いんですよ。

エリママ:どういう方が駆け込み開設しているんですか?

サエ先生:やはり、パパママご自身が一般NISAやつみたてNISA口座で投資をしている方が多いですね。

ユイママ:そうなんだ…。私は自分自身もNISAで投資をしていて、子供が生まれたらジュニアNISAやろうって思ってたんです。ただ、子どもが生まれたのが2023年1月だったので、そのときにはもう廃止が決まっていて…残り少ないけれど投資額をめいっぱい積もう!と思って口座開設したので、「駆け込み組」の一人です(笑)。

リョウパパ:私も同じです。長女が2021年の10月に生まれたんですが、2021年12月ごろに、「ジュニアNISAが廃止される」という情報を入手して知って、2022年になってから口座を開設したんです。その後、長男も生まれ、二人目の口座も開設しました。

エリママ:私は子供がもう中2と小5で大きいんですが、ジュニアNISAという制度自体は知っていて、自分自身も投資信託などで投資をしていました。子供が小さいころは貯金のほうにシフトしていたんですが、ある程度貯金が貯まった時点で「教育費の一部を投資で作るのもアリだな」と思って2022年に口座を開設したところです。

トコママ:結局、いつまでは駆け込み開設できるんですか?

サエ先生:証券会社によっても多少異なるかもしれないので、開設したい証券会社にご確認いただいた方がいいと思いますが、楽天証券では2023年9月末日まで口座開設が可能です。ただ、お手続きにも多少時間がかかるため、できるだけ早めにお申し込みに進まれた方がいいと思います。

リョウパパ:投資自体は2023年12月までできるんですよね?

サエ先生:その通りです。すでに口座をお持ちの方や、これから口座開設される方は、12月末日(受渡日ベース)まで銘柄を選んで購入することが可能です。年間上限額はお子さまお1人につき、80万円まで投資ができます。

 ところで、皆さんどれくらいジュニアNISA枠で投資をしていらっしゃるんですか?

エリママ・ユイママ:満額の80万円です!

リョウパパ・トコママ:子供が2人いるので、それぞれの子どもに、満額を入れています!

サエ先生:スゴイ! 皆さん情報入手も早いし、資産形成のリテラシーが高いですね…。

ユイママ:ジュニアNISA問題は、ママの間では昨今、アツい話題なんですよ。妊娠中にTwitterをやっていたんですが、まだ子供が生まれていないマタニティママや、0歳児ママの間で、しょっちゅう話題になっていました。なくなったらどうなるの?みんなどうするの?って情報交換は活発でしたよ。

トコママ:でも、私の周りでは、ジュニアNISAという制度があることを知っている人が半分、知らない人が半分、くらいの割合でした。自分が投資をしているかどうかで理解度や関心度は変わるんだなって思いました。だけど、2024年からジュニアNISAが廃止になってどうなるのかっていう点については、私自身、まだまだ分からないことが多いんです。ぜひ教えてほしいです!

サエ先生:分かりました! では皆さんの疑問点などにお答えしていきますね!

全員:よろしくお願いします!

今のジュニアNISA、どうなっちゃうの?

リョウパパ:2024年以降、5年間の非課税期間が終わると、ロールオーバーする手続きをしなくちゃいけないらしいんですが、それって、手続きが必要なタイミングになったら証券会社から「手続きしてください」っていう通知が来るんですか?

ユイママ:アレ? もう手続きしなくてよくなったんじゃなかったでしたっけ?

サエ先生:そうなんです。廃止が決まって、多くの方に影響が出るということで、5年を過ぎてもロールオーバーの手続きなどは不要になったんです。

エリママ:18歳(成人)になるまでは放置でいいっていうことですか?

サエ先生:はい。18歳になるまでは、ジュニアNISA口座内で、銘柄を保有したままでいられます。

リョウパパ:保有はできるけど、2024年以降は新たにその枠内での投資はできないっていうことですか?

サエ先生:正解です! 

トコママ:廃止後は、ジュニアNISAの中のお金ってどうなるんですか? 廃止時点の金額で塩漬け状態になるの?

サエ先生:いえ、新たな投資はできないのですが、購入した銘柄の運用は続きます。つまり、その時々で銘柄の価格は上下します。

トコママ:じゃあ、増えた時点で売却して、そのお金を払い出すことができるんですね。

サエ先生:はい。途中でお持ちの銘柄の価格が上昇したり、お子さんの学費などでまとまった金額が必要になったりしたら、払い出しができるようになりました。制度廃止前の2023年内に払い出しをすると課税されるのですが、2024年の制度廃止後は、払い出しの際にも課税はされません。売却せず、銘柄で払い出すことも可能ですが、銘柄を売却した場合は、利益が出ていれば課税されます。

 ただ、ご注意いただきたいのが、売却して払い出しするときは、全銘柄を払い出しして、ジュニアNISA口座を廃止することが条件になります。

エリママ:え!? 一部だけ払い出して残りは保有するってできないんですか?

サエ先生:それはできないんです。

エリママ:ショック…。私、子供がもう13歳で、18歳まであと5年しかないから、そろそろ出口戦略を考えていて、「ちょっとずつ取り崩そう」って思ってたのに。でも聞いておいてよかった!

トコママ:18歳までずっとジュニアNISA口座を保有してたらどうなるんでしたっけ?

サエ先生:自動的にそのお子さま名義の「NISA口座」が開設されますよ。

リョウパパ:あ、じゃあ中のお金も自動的にNISA口座に移るんですか?

サエ先生:それはできないんです。銘柄を売却せずに、ジュニアNISA口座内に銘柄をお持ちのままお子さまが18歳になったら、その中の銘柄は課税口座である「特定口座(もしくは一般口座)」に移管されます。そして、その課税口座内の銘柄で出た利益には、利益の20.315%が課税されるようになります。

*お子様の年齢や口座開設時期などによって、各種条件が異なる場合がございます。制度詳細や最新情報は「日本証券業協会」のジュニアNISAページ、お手続き方法は楽天証券ホームページをご確認ください。

エリママ:非課税のメリットを最大限に生かすっていう点を考えたら、18歳までの間にいいタイミングを見て売却して「全部現金化しちゃう(口座廃止)」っていうのが一つの方法なんですね。

サエ先生:そうですね。ですから、18歳になるまでまるまる放置、っていうのではなく、「今がチャンスだ!」っていう、価格が上昇しているタイミングを逃さないようにウオッチングしていただくのがイイと思います。

リョウパパ:うわー。腕の見せ所っていうか…。僕のせいでマイナスで終わらないように頑張ります(笑)。

サエ先生:がんばってください!(笑) でも、今回ご参加いただいた皆さんは、中長期で運用期間を持てる方ばかりですね。お子さんが小さい方は、非課税期間の5年間がすぎても自動的にロールオーバーされるため、長期で運用ができますから、ぜひ今からでもジュニアNISAの口座開設を検討していただきたいです。運用期間が長いということは、もし途中で下がったとしても、長期スタンスで上昇を待てる、というメリットがありますから。

トコママ:もう一つ質問なんですが、NISA制度も拡充して新NISAになりますよね? 18歳になるまでに払い出した場合、特定口座じゃなくて子ども名義の新NISA口座で、非課税で投資を始めるっていうのはできないんですか?

サエ先生:新NISAは、成人、つまり18歳以上しか開設できないんです…。

トコママ:ああ…そうなのか…(泣)。

サエ先生:そうなんです…。ただ、運用面で言うと、確かに新NISAは金額も自由度も拡充されて投資をする人にはとても有利です。ですから、お子さん名義で、という縛りにとらわれず「家族単位」で、トータルで投資力、運用力を上げていくというのも一つの手ですよ。

リョウパパ:あ、我が家はまさにそれです! 新NISAは生涯で1,800万円、夫婦二人合わせると3,600万円が、生涯投資上限ですよね。

 それに比べるとジュニアNISAの80万円ってそんなに大きな額じゃないので、自分と妻は、上下動が比較的少ないインデックス投資、子供のジュニアNISA枠ではレバレッジの効いた、チャレンジングな銘柄を購入しているんです。こうしておけば、リスク分散できるので、一家としてのポートフォリオは安泰かなって。

 

1.2023年9月まではジュニアNISA口座を開設できる
2.2023年12月までは新たに買い付け(投資)もできる(受渡日ベース)
3.18歳まで保有を続ける場合も、価格変動をチェックして上昇チャンスを逃さないようにしよう!

>>さよならジュニアNISA座談会[後編]ジュニアNISA廃止、2024年以降のマネープランどうする?を読む!

>>ジュニアNISA口座開設フローをチェック