インスタグラムで、家計管理や投資について発信している30代主婦、りりなさんのインタビュー後編をお届けします。今回は2024年にスタートする新NISAの使い方を中心にお伺いしました。

株式投資、9割がプラス!その秘訣は?

──最近、買った銘柄は何ですか?

りりなさん ディスカウントストアの「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)やレストラン事業やコンサルティングを手掛けるDD ホールディングス(3073) を買いました。

──何を基準に銘柄を選んでいますか?

りりなさん 基本的には自分が知っている会社の株を買うようにしています。あるいはなじみのある業種とか。自分がよく知る会社であれば、何か事が起こったときなど自然と情報が入ってきますし。

 あと、上場して間もないスタートアップなどは避けるようにしています。そういう会社は、短期間で株価が急騰する可能性もありますが、それと正反対のことも起こる可能性があります。今は安定性に重きを置いています。

いいときもあれば悪いときもあるのが投資。下落トレンドの「鈍感力」と、上昇トレンドの「敏感力」のバランスが重要

──ほかに、判断時にチェックする点はありますか?

りりなさん 時流に乗っているかどうかですね。例えばパン・パシフィック・インターナショナルを買ったのは、コロナが沈静化し、インバウンド需要が伸びるに違いないと考えたからです。あと、これは米国株ですが、最近、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド・カンパニー(ADM)という会社の株を買いました。

 米国の大手穀物企業ですが、将来訪れる可能性が高い「食糧危機」を見据えて、人工食などさまざまな新しい取り組みを始めているので、注目しました。私は、今起こっていることから近未来のことを想像するのが好きなんです(笑)。想像をもとに将来を予測して、銘柄選びに役立てています。

──これまでの、株式投資の運用成績はどうですか。

りりなさん 私の場合、株価が上がってもすぐに売るわけではないんです。よほどのことがなければ持ち続けます。そのため、どれくらい利益を出したかは、明確な数字は挙げにくいのですが、今のところ、買った銘柄の多くは含み益が出ています。

──現時点では、保有している銘柄の何割くらいが含み益になっていますか?

りりなさん どうでしょう、9割くらい? 

──9割はスゴイですね!

りりなさん 何かの出来事をきっかけに保有銘柄が軒並み下落に向かうこともありえなくないので安心はできませんが、今のところうまくいっています。

2024年開始予定の新NISA戦略を教えて!

──りりなさんの投資術についてひと通りお聞きしましたが、最後に2点、お伺いしたく思います。一つは新NISAについてです。今現在、つみたてNISAをやっている人の中には、2024年に新NISAが始まったらどうしよう…と戦略を練っている人も少なくないでしょう。りりなさんは、どうされるつもりですか。

りりなさん 新NISAは従来のNISAをパワーアップした制度であり、投資上限額が増える上、非課税運用期間が無制限に変更されます。ですから、もちろんフルに活用するつもりです。

 現行NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」のどちらかしか選べませんでしたが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つを併用することができます。「つみたて投資枠」は、つみたてNISA同様、金融庁の基準をクリアした投資信託の積み立てを行うもので、「成長投資枠」は、投資信託に加えて個別株に投資することができます。

 私は、今と同じく、「つみたて投資枠」で投資信託の積み立て、「成長投資枠」で個別株に投資しようと考えています。

新NISA制度のことを知りたいフォロワーのため、新NISA関連については、インスタグラムで積極的に配信中。

──ご主人名義のほうはどうしますか?

りりなさん 夫には、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」両方で、投資信託を積み立てることになるでしょうね。私が半分「攻めの投資」に充てる分、夫には守りに徹してもらいます(笑)。

──今のつみたてNISAは終了するわけですよね。これまで積み立てた分は、通常の口座に移すのですか。

りりなさん これまで積み立てた分は、非課税期間20年が終了するまで、運用を継続することができるので、そのまま残しておくつもりです。今現在、私名義のものと夫名義のものを合わせると400万円ほどになります。20年後、どのくらいになるか楽しみですね。

──400万円分全て売却し、新NISAの枠で買い直してもいいんですよね。

りりなさん 今のところそれは考えていません。なぜなら、新NISAの枠で買い直すと、新NISAの非課税枠を使ってしまうからです。つみたてNISAのままでも非課税なのですから、そのまま動かさないほうが有利だという判断です。つみたてNISAはそのままにして、新NISAの枠で新たにイチから積み立てを始めるつもりです。

下落時の最終手段は「見ない!」

──もう一つ、投資への向き合い方についてお伺いします。つみたてNISAなど投資を始めたけれど、増えるどころか、減ってしまったので、不安になって売却した、積み立てをやめてしまった…などという声をよく聞きます。りりなさんも、資産を大きく減らしたときは、どうやって耐えましたか?

りりなさん 私は2020年のコロナショックのとき、大暴落に捕まってしまいました。ちょうど妊娠していて、つわりの真っ最中だったので、もう心身ともにボロボロでした(涙)。

 ただ、きっと医療が進歩して、そう遠からずコロナは収束するだろう、そうなれば株価も回復するはずだと言い聞かせていました。

 そして、最終的には資産をチェックするのをやめました。「見ない!」と決めたんです。長期投資が前提なので、気持ちを落ち着かせるためにも、いったん、見るのをお休みしました。

──それも選択肢の一つですね。

りりなさん 個別株の場合は、世の中の景気全体が要因ではなく、企業の業績不振などで株価が下落した場合は損切りも検討しなければならないので、見たくなくても大きく下落した時はチェックすべきです。

 ただ、つみたてNISAに関していえば、20年30年と、長期間積み立てを続けることで恩恵を受けることができます。だから、資産が減っていくのを見るのは耐えられない、という人は「見ない」という選択もあると思います。

──最後に今後の抱負をお聞かせいただけますか。

りりなさん 実は、私の代から「りりな家の流れ」を「労働者マインド」から「投資家マインド」に変えたい!という壮大な夢があります。私の代から、資産運用を始めていて、投資をするマインドを息子に引き継ぐことができたら最高ですね。子から孫へ、そしてひ孫へ…と、この私のマインドが自分が死んだ後も、引き継がれていったらいいなぁと思っています。

「りりなばあちゃんが流れを変えてくれた」と語り合う子孫を想像するとワクワク。自分を起点にりりな家のマインドが転換するよう、日々勉強&発信中

 また、子供たちに投資のよさを伝えるような活動がしたいとも思っています。日本でも高校の家庭科の授業で金融教育が行われるようになりましたが、高校生向けに金融セミナーを開くなど、私の経験や得た知識を伝える活動を始めたいと思っています。

──近いうちにぜひ実現してください。では、今日はありがとうございました。