2023年1-3月は増収増益、主力の通信塔の減収をDASや「両翼」がカバー
現地コード | 銘柄名 |
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00788 |
中国鉄塔 (チャイナ・タワー) |
株価 | 情報種類 |
1.00HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の3大通信キャリアが出資する通信塔インフラ運営会社、中国鉄塔の2023年1-3月期決算は、前年同期比15%の増益だった。主力の通信塔サービス収入が前年同期比で3.9%減少する中、「屋内分散型アンテナシステム」(DAS:基地局の電波を光ケーブルで複数のアンテナに分配し、通信エリアを拡張するシステム)事業と、「両翼」ことスマートタワー事業およびエネルギー事業がそれぞれ27.1%、41.2%の増収を達成。さらに経費、特に減価償却費の低減が予想を上回る増益率の達成に寄与した。BOCIはコロケーション(施設内のサーバーやネットワーク機器など設置スペースのリース)業務関連の費用見通しを削減したのに伴い、2023-25年の予想純利益を増額修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
1-3月期の売上高は前年同期比2.5%増の232億元。純利益は15%増の25億元と、BOCIの予想を上回った。売上高を事業部門別に見ると、通信塔サービスは3.9%減の188億元。コロケーションの新規リース契約分の値下げによる影響が、基地局の増設によるプラス効果を打ち消した。同社が管理する通信塔は3月末に206万カ所で、テナント総数は362万3,000件。テナンシーレシオ(1カ所当たり平均参画キャリア数)は前年同期の1.71から1.76に上向き、コロケーション率の継続的な改善をうかがわせた。
DAS事業の売上高は前年同期比27.1%増の17億元。引き続きビルや高速鉄道・地下鉄などの公共ネットワークの拡大が寄与した。また、同社が「両翼」と位置付けるスマートタワー事業とエネルギー事業は成長の勢いを維持し、1-3月期の売上高はそれぞれ、37.6%増の16億元、47.8%増の9億元。売り上げ全体の11.1%を占めるまでに拡大し、同社全体の増収をけん引した。
EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は1-3月期に前年同期比2.7%増の161億元。コロケーション業務などの寄与で、EBITDAマージンが0.163ポイント改善している。また、減価償却費の管理が奏功し、純利益は15%増だった。
BOCIはDAS事業と「両翼」事業の上振れを受け、2023-25年の予想売上高を0.4%、0.9%、1.5%増額修正。この3年間の予想純利益をそれぞれ4.4%、2.7%、3.4%上方修正した。主にコロケーション業務の営業費用の削減を反映したため。ただ、設備投資に関する想定値を小幅に引き上げたこともあり、DCF方式に基づく目標株価を現行水準に据え置いた。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、5Gサービスの展開に伴う新規の通信塔の稼働状況が予想を下回る、あるいは通信塔の共有比率が予想以上の高水準に達した場合、タワー事業の収益に悪影響を及ぼす可能性を挙げている。