2022年は予想を下回る12%増益、資産の健全性では業界トップクラスを維持

現地コード 銘柄名
01658

中国郵政儲蓄銀行

(ポスタル・セービングス・バンク・オブ・チャイナ)

株価 情報種類

4.91HKD
(3/31現在)

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 中国版のゆうちょ銀行、中国郵政儲蓄銀行の2022年12月本決算は、純利益が前年比11.9%増の852億2,400万元と、BOCIの予想を下回った。主に業務純益の伸び悩みと純金利マージン(NIM)の縮小が下押しの原因となった。ただ、資産は引き続き健全で、不良債権比率は10-12月期もわずかに上昇した程度。不良債権引当カバー率も低下したとは言え、依然として同業銘柄を上回る水準を維持した。また、期末の預貸率は54.9%と、セクターで最も低い水準(資金余剰が大きいことを示す)。期末の貸出残高と預金残高は前年末比で11.7%、12.0%増加した。同行は先ごろ、A株の第三者割当増資で約450億元を調達しており、BOCIは今後の業務の発展や自己資本比率の改善に寄与するとの見方(割当価格は3月30日終値を55.4%上回る1株6.64元)。同行H株の株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同行の資産の質の高さは2022年10-12月期も鮮明だった。不良債権比率は12月末に0.84%と、9月末の0.83%から小幅に上昇したものの、同業銘柄の中では最も低い水準を維持したとみられる。不良債権引当カバー率(貸倒引当金÷不良債権残高)は385.5%と、9月末の404.5%から低下したが、引き続き同業銘柄の中でトップクラス。また、要注意先債権は前年末の0.47%から2022年9月末に0.56%に上向いたが、これも同業銘柄の中では最も低いレベルにとどまった。BOCIは中国経済の回復を理由に、2023年には不良債権比率がさらに0.82%に改善するとみている。

 主に純金利マージンの縮小が響き、資金利益(純金利収入)は2022年7-9月期に前年同期比0.7%減、10-12月期に同0.5%減。その結果、2022年通期の資金利益は前年比1.6%の小幅増だった。通期の純金利マージンは2.2%と、1-9月比、前年比でそれぞれ0.03ポイント、0.16ポイント縮小している。

 一方、役務取引等利益(純手数料収入)は1-9月期の前年同期比40.3%増から、10-12月には鈍化したが、2022年通期で前年比29.2%増。H株の主要銀行銘柄の中ではトップクラスの伸びだった。業務純益に占める役務取引等利益の割合は前年の6.9%から8.5%に上昇している。期末のリテール顧客向けの運用資産残高(AUM)は前年同期比10.8%増の13兆9,000億元、富裕顧客数は11.1%増の473万5,000人。BOCIは2023年の役務取引等利益について前年比20%増を見込む。

 同行H株の現在株価は2023年予想PBR(株価純資産倍率)で0.53倍の水準にあり、BOCIは過小評価されているとの見方。優れた資産の質や役務取引等利益の高い伸び、相対的に高い利益成長率を理由に、より高めのPBRに値するとした。2023年予想PBR0.9倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。