2022年下期に利益成長回復、航空業況回復で2023年には業績急拡大へ

現地コード 銘柄名
02588

中銀航空租賃

(ビーオーシー・アビエーション)

株価 情報種類

56.50HKD
(3/10現在)

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 世界の航空業況が正常化に向かう中、中国銀行(03988)傘下の航空機リース大手、中銀航空租賃の2022年下期の純利益は3億3,300万米ドルと、上期の純損失3億1,300万米ドルから急回復した。ウクライナへの軍事進攻に絡み、ロシアの航空会社向けにリースしていた機材を対象に多額の減損損失を計上したことが、主に上期決算に影響した形。ただ、2022年通期の純利益は前年比96%減の2,000万米ドルと、BOCIの予想を上回る水準に達した。通期の売上高は5.7%増の23億700万米ドル。ロシア関連の評価損を除外した場合、下期のコア純利益(税引き後)は上期比で56%増、前年同期比では5%増の3億2,200万米ドルだった。リース契約の締結数は2022年10-12月期に13件で、通期では計78件に達している。BOCIはロシア関連の減損のはく落と世界の航空市況の回復で、2023年には力強い利益成長に転じるとの見方。特に中国でのゼロコロナ政策の終了による国際線業務の回復を見込み、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2022年下期決算を見ると、リース利回りは9.5%と、上期の9.1%から上昇。正味のリース利回りは7.1%と、上期の7.0%から小幅に上向いた。

 取引先の航空会社は2022年10-12月時点で、世界39カ国・地域に計84社。7-9月期の38カ国・地域の81社、4-6月期の36カ国・地域の79社から増加した。保有機材の平均機体年齢は2022年通期に4.4年で、平均リース残存期間は8.1年。1-9月には4.3年、8.2年だった。

 同社は世界の航空市況の回復による代表的な恩恵銘柄。IATA(国際航空運送協会)によれば、世界の旅客輸送市場のRPK(有償旅客キロ:旅客輸送実績を示す指標)とASK(有効座席キロ:旅客輸送力の規模を示す指標)は2022年10月時点で、コロナ前の2019年実績の74.2%、74.3%相当まで回復し、同年1月の50.4%、62.3%から明らかに上向いたという。この結果、世界の航空業界全体の純損失は2022年に大きく縮小する見込み。BOCIは中国のゼロコロナ政策の終了で、続く2023年には航空市況がさらに上向くと予想。2023年には業界全体が黒字化する可能性を指摘している。

 BOCIは2023年の同社利益の急回復を見込むが、これはパンデミックに起因する航空機の供給過剰がほぼ解消される見通しや、航空機リース市場における同社のリーディングポジションが理由。2023年予想PBR(株価純資産倍率)1.2倍を当てはめ、目標株価を引き上げた。1.2倍との基準値はコロナ前の2019年の平均値並み。堅実なビジネスモデルを強みに、長期のROE(株主資本利益率)予想が15%に達することを考えれば、1.2倍という目標ベースは妥当とし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。