3.米ドル/円レートはレンジ相場か?

米ドル/円レートはさまざまな要素で決定されるが、金利差動向などからはレンジ相場が予想される

 図表3は、米ドル/円レートと日米金利差(10年国債、2年国債)の推移です。米ドル/円レートは、購買力平価(PPP)、国際収支(貿易収支など)、そして、金利差(国債利回り格差)など、さまざまな要因で動きますが、購買力平価や国際収支は指標特性から長期的な動きや水準に影響を及ぼす一方、金利差は短期的な動きへ影響を及ぼしやすい傾向があります。

 表記のグラフ期間を見ても、日米金利差が動く方向と米ドル/円レートが動く方向が似ている様子が確認でき、特に2021年ごろ以降の動きは顕著です。

 前述の通り、昨秋ごろから米インフレにピークアウト感が見られ始めたことで、米政策金利の引き上げが続く中でも、米国債利回りが急低下し(特に10年国債などの長期金利)、それ以前は拡大の一途だった日米金利差が縮小に転じ、一時は米10年国債利回りの日米金利差が3.0%を割り込んだ影響で、米ドル/円レートも一気に円高米ドル安に動きました。

 ただし、今後に米政策金利が5%超に引き上げられそうな状況を考えると、米長短金利差(米10年国債利回りー米政策金利)が▲1%前後の大幅なマイナスとなっている現状では(2月20日時点)、これ以上のさらなる米10年国債利回りの低下を期待することは難しそうです。

 米債券利回りの低下に制限がかかり、日米金利差の縮小も限定的となれば、円高米ドル安の流れもいったんは止まり、日米金利差が現状程度(10年国債の金利差で3%程度)である間は米ドル/円レートはレンジ相場になると見ています。

[図表3]  米ドル/円レートと日米金利差の推移

期間:2014年12月31日~2023年2月20日、日次
※日米金利差は米国債利回りー日本国債利回り、国債利回りはBloomberg Generic
(出所)Bloombergを基に野村アセットマネジメント作成

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