中国事業が一転して2023年の成長けん引役に、製品開発や販路拡大に積極投資か

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

24.65HKD
(3/3現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2022年10-12月期決算は、売上高が前年同期比4.8%減。EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は同34.7%の落ち込みを示した(いずれも為替変動要因除く)。中国での新型コロナ感染の再拡大による悪影響が、韓国とインドでの好調を完全に打ち消す形となった。ただ、BOCIはゼロコロナ政策の終了に伴う経済活動の再開で、2023年には中国事業が成長のけん引役になるとの見方。このタイミングで、同社が市場シェアの拡大と長期の持続的成長を見据え、製品開発や販路の拡大、デジタル化の推進に向けた投資を強化する見通しを示した。2022年12月通期の期末配当は1株当たり3.78米セントで、配当利回りは58%(前年41%)。同社株価の先行きに対し、強気見通しを継続している。

 中国事業は実際、2023年に入ってから持ち直しており、経営陣によれば、旧正月休暇明けの飲食店の営業再開で、2月の販売量は前年同月比20%以上の伸びを示した。業務用需要の回復に伴う販路構成の変化で、平均販売価格や粗利益率も上向いているという。経営陣はまた、2023年には商品インフレも緩和するとの見方。引き続き価格引き上げを通じた利幅の改善を目指す方針を示した。同社は中国ビール市場のプレミアム化の進展に対して依然楽観的であり、消費者の高級品需要の高まりに合わせた製品ラインアップの拡充を続ける意向。欧州の有名クラフトビールメーカー、ブリュードッグとの連携に加え、蒸留酒やエナジードリンクなどの分野でも提携の機会を探っている。

 2022年10-12月期には、同社全体で販売量が前年同期比2.2%減少し、平均販売価格も2.6%低下した。部門別に見ると、韓国を主力とする「APAC(アジア太平洋)東部」の売上高が13.8%増(販売量5.3%増、平均販売価格8.1%上昇)。ノーマライズドEBITDA(非支配持ち分や純金融費用、関連会社持ち分損益、非経常損益などを除外したEBITDA)は前年同期実績の高さやサッカーFIFAワールドカップ向けのマーケティング投資の影響で、3.8%の伸びだった。一方、主に中国とインドで構成される「APAC西部」の売上高は9.6%減(販売量3.6%減、平均販売価格6.2%低下)。コロナ禍での外食店の営業停止(10-11月)などが響き、中国が15%の減収だった。西部全体のノーマライズドEBITDAは45.1%の大幅減となっている。

 BOCIは売上高販管費率の引き上げや中国でのマーケティング投資の拡大を反映させる形で、2023-24年の予想純利益を5%、4%減額修正。予想EBITDAも5%、3%減額した。引き続きAPAC西部、東部に、それぞれ2023年予想EV/EBITDA倍率22.4倍、11.7倍をあてはめ、目標株価を4%引き下げた(EV/EBITDA倍率はEV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)。新たな目標株価は2023-24年の予想PER(株価収益率)では42.9倍、37.2倍に当たる数字となる。